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零落の賦
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版元:作品社 著:四方田犬彦 四六判上製 396ページ 2025年8月6日刊
天界の神々、文武に長けた皇帝、社交界の貴公子から、ハリウッド映画の女優まで、名誉と栄光を欲しいがまま生きた者たちは、なぜにかくも見捨てられ、忘れられ、悲惨な終末を遂げるのか。
文学、演劇、映画を横断し、人間存在の本質に宿る〈零落〉を論じる長編エッセイ。
『摩滅の賦』、『愚行の賦』に続く三部作、ここに完結!
*
「零落とは単なる道徳的堕落でも、政治的転向でもない。棄教後の隠遁でもなければ、蓄財を失って絶望に打ちひしがれることでもない。社交界から追放され、忘れられた存在になるだけでは、まだ充分に零落したとはいえない。零落とはこうした個々の苦境のすべてを超えた厄難であり、他人の目には識別されこそすれ、けっして余人には理解されることのない実存的状況である」
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