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言いたいことが言えないひとの政治学
¥1,980
SOLD OUT
版元:晶文社 岡田憲治 著 四六判並製 272頁 2024年12月刊 「給料上げてと会社に言いたい」 「暴言やめてと老親に言いたい」 「戦争やめろと世界に言いたい」…… じっとガマンするのでも、ガツンと言ってやるのでもない―― 人生を自分でつくっていく、大人のための対話術 家庭でも職場でも地域社会でも、ふつうに生活しているだけで、私たちは他者との不和やトラブルに悩まされる。言いたいことは溜まるけど、そうそう言えないのが大人の世界……。主張や発言ができないのなら、黙って我慢するしかないのか。 そんなわけない、と政治学者の著者は断じる。ほどよく交渉したり、提案したり、説得したり……ふだんづかいの対話術を、政治学の知恵をつかって考えていく。個人・集団・社会にたいして、自分の思いを届ける技法とマインドをユーモアたっぷりに惜しみなく提案する一書。
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愛と孤独のフォルクローレ ボリビア音楽家と生の人類学
¥4,950
版元:世界文化社 著:相田豊 四六版上製 352ページ 2024/12刊 アンデス―アマゾンを往復し、出会った、孤独の思考 南米ボリビアで「新しい音楽」として興隆したフォルクローレ。個人の物語を愛し、他者の音を聴かず、堂々と嘘を楽しむ…。共に演奏し、木を伐り、考える中で導かれた、ポスト関係論の人類学。 ――「はじめに」より 彼らの人生のテーマを一言だけ取りあげることが許されるならば、それは「孤独」ということになるだろう。音楽家たちは、若い頃、家族にも背を向け、同じフォルクローレ音楽家たち同士の中ですら馴れ合わず、「自分」の探究を続けた。…… 本書は、私が三年半にわたり、ボリビアで聞き、時には自分自身もその中に入って経験した、フォルクローレ音楽家たちの物語を記述していくものである。彼らは、ボリビア全体にとっても激動だった時代を、とにかく軽やかに──あるいは軽薄とすらいえるかもしれないほどの軽さで──駆け抜けた。その軽快で、明るい「愛」と「孤独」を書くのが本書の目的である。…… 引き込まれる語り口。忘れられない名ゼリフ。驚きの展開。彼らのあまりに巧みな語りっぷりを通じて、普通の人の普通の人生がどれだけ面白いのか、私は見せつけられた思いだった。こうした経験があったので、私は、少しでも彼らの語りに近いものを自分で書いてみたいと思ったのだ。だから、この本は、通読できる民族誌を目指している。…… これまでの人類学にとって、「関係」という概念は揺るぎない重要性を持ってきた。それゆえ、関係以降にあるものを考えるというのは、極めて挑戦的な問いである。本書もまた──それがあまりに大きく、無謀な問いであることは承知の上で──「孤独」の側から人類学理論を刷新していくことを目指している。 音楽家たちが、とんでもなく新しい何かを愛し、目指したのと同じように。
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「これくらいできないと困るのはきみだよ」?
¥2,255
SOLD OUT
版元:東洋館出版社 編著:勅使川原 真衣 著:野口 晃菜・竹端 寛・武田 緑・川上 康則 四六判並製 :376頁 2024年12月17日刊 学校の内外から教師・子どもに向けられる能力主義を語りひらく 社会や労働にある一元的な能力主義や「傷つき」について、組織開発者として日々論じている勅使川原真衣さんが、教育・福祉の専門家・実践家と対談。学校をめぐる際限なき「望ましさ」の背景にどんな傷つきや焦りがあるのかを探り、一元的な能力主義をほぐしていくための糸口を考えました。 環境や関係性を無視した能力観の果てに 社会では、日々さまざまな能力の必要性が訴えられていますが、それらは非常に移ろいやすいものです。労働の世界に目を向ければ、「新卒で必要な能力」が時代とともに移ろいますが、能力とは個人に宿るものではなく、その発揮は本来、環境との関係に左右されます。 そして、労働の世界とは切っても切りはなせない関係である教育の現場でも、「コミュニケーション能力」「非認知能力」「指導力」という表現に、こうした一元的な能力主義の片鱗を見つけることは難しくありません。 例えば、「これくらいできないと困るのはきみだよ」。言ったり、言われたりしたことのある人は多いでしょう。学校で相手や自分に「これくらいできないと困るのはきみだ」と言いたくなるときには、どのような社会で生きることが想定されているでしょうか。 「これくらい」が規定する社会は存在するのか 本書の編著者である勅使川原さんは、「能力とは個人に宿るものではなく、他者や環境との関係の中で発揮されるのではないか」と提案します。そして、一元的な能力主義を脱するためには、個人がすべての“能力”を身に付けて「強い個人」として生きることを目指すのではなく、強さと弱さ、とがりや特性を組み合わせて生きていくことを目指すほうが大切なのではないかとも考えます。 本書では、「これくらいできないと」に表現される焦りが、昨今の学校をめぐる状況への合理化として表れているのではないかと仮定し、どうすれば一元的な能力主義という“自縄自縛”をほぐしていけるのかを議論します。 「学校だけが変わったって意味はない」? 「学校がいくら個性を大切にしても、その先で生きていく社会が変わらなければ、結局困るのは子どもたちではないか?」――こうした不安も生じるかもしれません。しかしながら、不登校児童生徒が30万人を超える今、このまま進んでいったとして、学校は子どもたちにとって、そして先生にとって、どんな場所になりうるでしょうか。私たちは、なに「から」始めていけそうでしょうか。4つの語り合いを通して、学校にある大人や子どもの傷つき・葛藤をつぶさに見つめながら、糸口をいっしょに考えていくための1冊です。
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絶望ハンドブック
¥2,200
SOLD OUT
版元:エランド・プレス 著:坂口恭平 四六判変形/ソフトカバー/224ページ 2024年12月7日刊 作家・坂口恭平が若い頃よりとらわれてきた自身の「絶望状態」との格闘をつづった、切実で赤裸々な記録。困難の果てに辿りついた「絶望」との新たな関係性にいたる道筋は、渦中にいる多くの人々に希望を示すだろう。 苦悩する人へのギフトであるとともに、人間の精神や創造性への洞察をはらんだ「絶望文学」のマスターピース。
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韓国、男子 その困難さの感情史
¥3,300
版元:みすず書房 著:チェ・テソプ 訳者:小山内園子・すんみ 解説:趙慶喜 四六変型 312頁 2024年12月2日刊 「男」は理不尽な観念だ。ジェンダー間の格差・分断・差別の歴史の中で、男性は「男」であるがゆえに抑圧する主体だった。他方、「男なら…」という期待は、当事者に「失敗と挫折でがんじがらめ」の内的経験をもたらしてもきた。日本においても然り。だが韓国では、この問題を感情史的アプローチで探究する試みがいち早く登場した。 韓国ドラマの男たちが“おんな子どもを守る強い男”の類型を引きずり続けるのはなぜだろう? フェミニズムへの関心の高い国で、なぜ若者がバックラッシュの政策を支持するのか? その背景にある男性性の問題、すなわち「韓国男子」のこじれの源を、本書は近現代史上の事象や流行語を手がかりに辿る。「男子(ナムジャ)」の苦難や煩悶が、非‐男性への抑圧と表裏をなしながら、いかにして社会を構成する人々全体の生きづらさに与ってきたか。朝鮮王朝時代、植民地化、南北分断と軍政、民主化、新自由主義化といった局面に応じて、男性性をめぐる新たな困難と、そこから噴き出る抑圧と暴力の構図が繰り返し出現した。終盤では、兵役が生む軋轢や、オンラインで拡散する苛烈なミソジニーとバックラッシュに揺れる2000年以降の社会の様相を見る。 「このような作業が必要な理由は、まず理解するためだ。」今日の韓国の人々の心性を理解するための重要な知見と示唆に溢れた論考であるとともに、日本における同じ問題を合わせ鏡で見るような書だ。
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虫坊主と心坊主が説く生きる仕組み
¥1,760
版元:実業之日本社 著:養老孟司 名越康文 四六判並製 240p 2024年11月刊 仕事、成功、世の中、自分、死の圧倒的現実を、静かに説き明かす対談! 「やりたいことっていうのは仕事じゃねえよ」 「死んでんのかな、ほんとに」 -養老孟司 「成功すればするほど苦しくなるんじゃないかな」 「みんな自分の願望の充足のために現実を利用しようと躍起」 -名越康文 この本では、私たちが日常で感じる「わけのわからなさ」に対する洞察が交わされています。「お経は答えそのものである」との名越さんの言葉から、対談では様々な生きることの出来事が話題に上がります。 名越さんによると、人間は現実を見ずに幻想を追いがちで、その結果、不必要に動揺したり悲しみや怒りを感じたりしているそうです。養老先生の役割は、そんな人々に「現実はこうだ」と示してくれることです。その結果、心が安定するのだとか。また、お経は私たちの抱える様々なもやもやをスッキリさせてくれるものであり、人々の幸せを願いながら、真の教えを伝えているとのこと。 名越さんと養老先生が何を語っているのか、それは社会を変えようとする意図ではなく、あくまで彼らの「らしさ」が反映された対談となっています。そして、お二人は対談が人々に何かの教訓を与えるとは考えておらず、ただお経のように心に響く何かを提供したいと願っています。 この対談を通じて、読者は日常生活の混乱や不安から一時的にでも解放され、新たな視点で生の謎に思いを馳せる機会を得られることでしょう。生きることの本質に迫る試みとして、名越さんと養老先生の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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青い星、此処で僕らは何をしようか
¥1,980
版元:ミシマ社 著:後藤正文 藤原辰史 四六判並製 224 ページ 2024年12月06日刊 ミュージシャンと歴史学者。 偶然、同年同日に生まれた2人が邂逅し、 生年日の新聞を読むことから対話を始めたーー そうして浮かび上がった、今に残る半世紀以上つづく問題。 私たちは、これらに、どう向き合えばいいのか? 映画を共に観、フィールドに立ち、丹念に学びながら、 100年先に向け探った、自分たちの時代の「抗い方」。 同時代を生きる人たち共鳴必至の一冊。 ――終章より―― 生産や消費の多寡ではなく、分解が大事なのだというような発想で、未来について考えたい。伸び代はきっといくらでもあるし、何かを損なうことなく、僕らは豊かになれると思う。根拠はない。けれども、そう真剣に信じている。みんなでやり直そう。――後藤正文 本書のタイトルは、青い星「を」どうしようか、という問いではない。青い星「で」どうしようか、という問いである。青い星は、誰のものでもなく、誰のものでもある。だからこそ、同じ惑星をシェアするには、率直な言葉の交換が必要である。本書がそのひとつとして、未来の青い星の共同使用に貢献できれば幸いである。――藤原辰史
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静かな基隆港 埠頭労働者たちの昼と夜
¥3,520
版元:みすず書房 著:魏明毅 訳者:黒羽夏彦 四六判上製 208頁 2024年11月18日刊 心理カウンセラーの著者は、どれほど面談を重ねても年々患者が増えつづける状況に戸惑いを覚えていた。患者個人だけでなく、人々に葛藤を引き起こす社会の構造的問題に目を向ける必要があるのではないか。仕事を辞め、大学で新たに人類学を学びはじめた著者は、台湾北部の港湾都市・基隆(キールン)でフィールドワークを始める。そこは、2000年代を通じて、壮中年男性の自殺率が全国で最も高い場所だった。 この街は天然の良港といわれる基隆港を中心に発展してきた。そこでは苦力(クーリー)と呼ばれる大勢の男性肉体労働者が荷役を担い、台湾と外の世界とを結びつけていた。1972年、国際輸送のコンテナ化の趨勢に乗って基隆港がコンテナ埠頭となると、84年には世界第7位の規模を誇るまでに繁栄し、港湾労働者もまた隆盛を極めた。一方で、港を出入りする船に合わせた不規則な労働形態は、男たちを埠頭の外の世界と隔絶し、家族や地域社会から切り離していった。また、コンテナ化に伴い荷役が機械化されたことで、かつてのような大量の人手は必要でなくなった。港湾労働それ自体の変質は、いずれ彼らが切り捨てられることを意味していた。 2009年、すでに「死港」となった基隆港を中心にさまざまな場所を行き来するなかで、著者は、港湾労働者やその家族、埠頭周辺の人々の人生が、いかにこの国際港湾の盛衰に左右されてきたかを知ることとなる。 歴史から零れ落ちた人間の生を丹念な観察によって再構成し、台湾最大の文学賞・金鼎獎を得た、読む者の心を揺さぶる「悲哀のエスノグラフィー」。
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エトセトラ VOL.12 特集 戦争をやめる
¥1,540
版元・編集:エトセトラブックス A5判・並製 144ページ 2024年11月28日刊 「止(と)めようとしたのに」と、あとから言いたくない。 いま、ここで戦争を拒むフェミニストたちの意思表示号。 パレスチナへのジェノサイドはいまだ終わらず、ロシアのウクライナ侵攻は続き、日本は沖縄を破壊しつづけ、各地で軍事化を進めている。フェミマガジン12号目は、これまで戦争を記憶し記録し、共に生きるために暴力に抗ってきたフェミニストたちの行動と言葉を集める。 戦争と女性史、軍事化にとりこまれるジェンダー問題、アートや詩で闘う表現者たち、各地で反戦活動するアクティビストたちの連帯の可能性など。戦争と地続きでしかないこの日常において、それぞれの「反戦」をつなげる特集号。論考、エッセイ、インタビュー、読者投稿ほか。
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傷つきのこころ学 NHK出版学びのきほん
¥825
著:宮地尚子 版元NHK出版 A5判 112p 2024/11刊 人と人との距離感が変わりつつある現代では、誰もが多くの「傷つき」を経験する。自分と他者はなぜ傷つき合い、それはどのように癒やせるのか。トラウマ研究の第一人者が現代に特有の「傷つき」の背景を分析しながら、数十年培ってきた専門的知識を初めて私たちの日常生活に落とし込んで解説。
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こんな世界でギリギリ生きています みらいめがね3
¥1,870
版元:暮しの手帖社 文・荻上チキ 絵・ヨシタケシンスケ 四六判/並製/208ページ 2024年11月刊 自身の身のまわりをつぶさに見つめ、遠く離れた異国の人の暮らしにもあたたかなまなざしでフォーカスする。荻上チキさんのエッセイに、ヨシタケシンスケさんがイラストストーリーで呼応する。ふたりそれぞれの「めがね」が、読む人に新たなものの見方を示してくれる新しい形のコラム、『暮しの手帖』の人気連載をまとめた書籍の最新刊です。 「身体から本心」(日々のストレスのこと)から、「布団の中で考える」(新型コロナ罹患)など身近な話から、「戦争と憎しみ」「友人に平和を」(ウクライナ取材)など時事的な話題まで読みごたえ充分です。
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クソッタレな俺をマシにするための生活革命
¥1,980
版元:左右社 著:済東鉄腸 四六判並製 256ページ 2024年11月29日刊 脱引きこもり中の引きこもり、男らしさを考え直してたら、人間として生き直すことになった── リアルの世界の人には肉体がある。当然だろうと思うかもしんないが、ネットに入り浸りそういう感覚が希薄だった俺にはこれが「発見」だった。 初の著書『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』がヒット、エッセイストとして華々しくデビューした済東鉄腸31歳。 インタビューにラジオに引っ張りだこの毎日。他者の中で揉まれ、自身を相対化するにつれて「社会の中で俺って一体、なんなんだ? 男らしさってなんなんだ?」という問いにつきあたる。人生を振り返ってみると、これまで「男らしさ」に悩んだことがなかったのは、そもそも「人間として」自分に自信がなさすぎるからだった…! 人間として、男として。自らの手で選び取った「男」という性をよりマシなものにするため、脱引きこもりを目指して冒険に出る。とはいえそれは地元のショッピングモールと、自宅の往復がほとんど。放棄してきた「生活」の細かな実践、生身の人間との関係構築へと少しずつ歩み出す。そして思いは、最も身近で最も遠かった他者である両親へ── 熱くて小規模な冒険がいま始まる!
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ヤンキーと地元
¥990
SOLD OUT
版元:筑摩書房 著:打越正行 文庫判 368頁 解説岸政彦 2024/11/07刊行 あまりのおもしろさにページを捲る手が止まらず、気がつけば一日が終わっていた。 そして圧倒された放心状態で岸政彦さんのあとがきを読んでいたら、ハタと我にかえり気づいた。そうだよ!そもそもこんな本が書かれたこと自体とんでもないことだと。 沖縄のヤンキーの中に「パシリ」として入り込み、暴走に原付で追走し、イジられパシられ、博打で金を巻き上げられ、おなじ建築現場で一緒に働き、キャバクラの撤収に駆り出されながら、長い長い時間を一緒に過ごす。そうやって信頼を得ながら、彼らのリアルな声を聞きだし、生活史を紐解いていく。 そんなこと、普通できない。なんか、研究者の範疇を超えているというか… でも、そうして拾い集められたヤンキーたちひとりひとりの言葉、彼らの生き方、そこに横たわる暴力的で残酷な構造には、ただただ圧倒される。男社会、沖縄、ヤンキーという共同体、そこにいる女性、暴力の連鎖、搾取の構造…あらゆることに対する解像度がグッとあがる。そして、出てくる一人一人が本当に忘れられなくなるという感じがする。 本書にも何度もでてくる上間陽子さんの『海をあげる』と、併せて読んでほしい。お互いが欠けていたピースを補完し合って、ひとつの大きな絵が見えてくるような2冊だと思うから。
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未整理な人生
¥2,310
版元:生きのびるブックス 著:インベカヲリ☆ 四六判並製 240頁 2024年9月刊行 人類って、変。うん、すごく変だ。 不幸の手紙、地蔵の誘拐、街場の怪文書、スーモ泥棒、自殺を誘発する発車メロディ、失踪する芥川賞作家と東京藝大出身者、東京地裁のコッペパン、トイプードルと偽って売られるヤギ… 欲望の迂回して、理屈では説明できないことばかりしでかす人間たち。得体のしれない衝動、小さな狂気、ろくでもない人類。そんな未整理な人類を、じっと観察し、人間のよくわからなさを考察する一冊。 著者のインベカヲリ⭐︎さんは、写真家でありノンフィクション作家。乾いてて、ユーモラスで、鋭い。一度読み出すと、止まらなくなります。 「やっぱ、俺らって変だもんな…」と、不思議と気が楽になるというか、解放された気持ちになる一冊でした。なんか愉快!
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無意味のススメ 〈意味〉に疲れたら、〈無意味〉で休もう。
¥1,430
SOLD OUT
出版社:春秋社 著:川崎 昌平 B6変形上製本 192頁 2019/07/22刊 朝起きてから夜眠るまで、意味にとり囲まれてる現代社会。なんだか一日中ガラクタのような情報を頭にため込んでいるような気がするし、すべての時間が目的と効率に縛られてるみたいで、グッタリしてしまう。 ほんとうに、脳をポカンと空っぽにすること、無意味を生活に埋め込むことが必要だと、切実に思う。 とはいえ、意味に縛られ、意味に慣れきってしまった私たちにとって、それは結構むずかしいこと。本書も、その難しさは承知のうえで、すこしづつ「無意味」をあじわう術を、指南してくれる。 ちょっとだけオノヨーコの『グレープフルーツ・ジュース』(名著!)を思い出す。本書の方がかなり理屈っぽくはあるけれど… 意味で埋め尽くされようとしている世界に抗うために、そっとポケットに忍ばせておきたい一冊でした。
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隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ
¥1,540
近いところから聞こえてくる知らない音。一歩踏みだせば手の届くところで揺れている文字の連なり。それは未知の世界を開いてくれるだけでなく、自分の中の何かを揺るがし、清新なものを連れてくる。 ー『隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ』(斎藤真理子) 著・文・斎藤 真理子 出版社(メーカー名) 創元社 本体価格(税抜) ¥1,400 発行日 2024/08/30 頁数 160 判型 46変形 シリーズ「あいだで考える」 不確かな時代を共に生きていくために必要な 「自ら考える力」 「他者と対話する力」 「遠い世界を想像する力」 を養う多様な視点を提供する、 10代以上すべての人のための人文書のシリーズ。 * いま、韓国の文学、音楽、ドラマや映画に惹かれる人はますます増えている。一方で、歴史や社会についてはよく知らない場合も多い。本書では、著者が韓国語(朝鮮語)を学び始めた背景、この言語の魅力、韓国の人々にとっての「言葉」、痛みの連続である現代史の中で文学が担ってきた役割などを、翻訳者としての豊かな経験から親しみやすく語る。文字、音、声、翻訳、沈黙など、言葉をめぐるさまざまな「あいだ」を見つめ、朝鮮半島と日本の人々のかかわりを考える1冊。(装画:小林紗織)
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ホームレスでいること 見えるものと見えないもののあいだ
¥1,540
SOLD OUT
出版社:創元社 著・文:いちむら みさこ 46変形並製 160頁 2024/08/30刊 シリーズ「あいだで考える」 不確かな時代を共に生きていくために必要な 「自ら考える力」 「他者と対話する力」 「遠い世界を想像する力」 を養う多様な視点を提供する、 10代以上すべての人のための人文書のシリーズ。 * 著者は公園のテントに20年以上暮らし、ほかのホームレスたちと共に生きる場をつくりながら、ジェントリフィケーションやフェミニズム、貧困などをめぐる活動をしてきた。本書では、公園や路上での生活や、ほかのホームレス女性たちとの営み、街の再開発とそれに伴うホームレスの追い出しなどを伝え、現代社会の風景の中の「見えているのに見えないことにされているもの」「隠されているもの」「消されたもの」について、読者に語りかける。(装画:いちむらみさこ)
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世界の適切な保存
¥1,870
SOLD OUT
言い淀んだり、詰まったり、失ったり。止まったり、よけたり、連発したり。たしかにそうやってままならなさを生きることによって、むしろようやくわたしたちは何かを言い当てることができる。どうしようもなく切実で、言いたくて、でも言えないことを、つぶやくことができる。 ー『世界の適切な保存 版元:講談社 著:永井玲衣 四六判並製 2024年7月刊 自身の半径1メートルで起こった出来事から、今、世界を脅かす戦争まで。 見ること、言葉を紡ぐことをあきらめない著者の真摯で誠実な視線が胸をうつ、 この「世界」と向き合うための哲学エッセイ。
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中学生から知りたい パレスチナのこと
¥1,980
版元:ミシマ社 著:岡真理・小山哲・藤原辰史 四六判並製 224 ページ 2024年07月刊 この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 ***
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共感と距離感の練習
¥1,760
SOLD OUT
版元:柏書房 著:小沼理 四六判並製 208ページ 2024年5月刊 「わかるかも」が口癖のあなたへ。 【内容】 初めて物語の中に私に似た人を見つけた日のこと、東京とソウルで参加したプライドパレードのこと、日本の同性婚訴訟やパートナーシップ制度のこと、同じ時代を生きている/生きていたクィアのこと―― 誰かの痛みや怒りや悲しみが、まるで自分のことのように思えることがある。乳化した水と油のように混ざり合ってしまう。だけどあなたはあなたでしかなく、私は私でしかない。他者同士である私たちが、重なったりずれたりしながらともにあるための、「共感」と「距離感」。その可能性と難しさについて。 「わかる」なんて簡単に言えない、「わからない」とも言いたくない。ゲイとして、シスジェンダーの男性として、著者が日常の中で直面したエピソードを描きます。 “共感も距離感もうまく使いこなせない。だからこそこだわってしまうのだろう。なんとか組み合わせて、練習しながら上手になっていきたい。混ざり合った世界と分離した世界を同時に生きるように。言葉にならないものと言葉を重ねて一つにするように。” ――「はじめに」より 自分と他者、規範と逸脱、個人的なことと社会的なこと……様々なものごとのあわいにとどまり、揺れながら考えるエッセイ集。 【著者略歴】 小沼理〈おぬま・おさむ〉 1992年、富山県出身、東京都在住のライター・編集者。著書に『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)。本書がはじめてのエッセイ集となる。
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センスの哲学
¥1,760
SOLD OUT
版元:文藝春秋 著:千葉雅也 四六判並製 256P 2024年4月刊 なるほどこれを読むと、センスとはまず知性だなと思う。ここに書かれている「モノの見方」は、どれだけ漫然とアートを浴びていても決して辿り着くことがないだろう…そんな知的な転換がある。私たちがどういう「動物」であるかを知った上で、アートや芸術がどういう意味を持つのかを考える、そういう本質的な問いがある。 それにしてもこの本を読むと、私たちはなんと意味や物語、メッセージに縛られてアートや映画や小説や音楽を、ひいては世界を眺めているのだろうと思う。そしてその傾向は、倫理的に不寛容になりつつある人びとのモードと合わさって、日に日に強まっているような気も。 先日、「映画の中で法令違反(二人乗り)してるのが気になって、内容が頭に入ってこなかった…」みたいな感想を聞いてびっくりしたのだけど、「私たちの理解の範囲で、倫理的に正しく、欲望をきもちよく満たしてくれる…」そういうものを求める態度は、一番センスから程遠いのだろうな、と。 リズム、うねりとビート、ラカン的享楽、デモーニッシュな反復、余剰、フォーマリズム、破綻、可能性の溢れ、アンチセンス…そんな哲学や精神分析、時間論などの概念を縦横無尽に参照しながらも、とにかく親切で、わかりやすい。何はともあれ、エッセンスが心に残る。そんなすばらしい「入門」的一冊だと思いました。 ちなみに私は、「なんだかすごく、蓮實重彦を感じる…」と思いながら読み進めていたのですが、「この本のアプローチは、三分の一くらい蓮實的なもの」と書かれていてなるほどなと。私も「表層批評」に世界の見方を変えられた口なので。最高です。
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小山さんノート
¥2,640
版元:エトセトラブックス 編:小山さんノートワークショップ 四六判変形・並製 288ページ 2023年10月刊 「小山さん」と呼ばれた、ホームレスの女性が遺したノート。 時間の許される限り、私は私自身でありたいーー2013年に亡くなるまで、公園で暮らしながら、膨大な文章を書きつづっていた小山さん。町を歩いて出会う物たち、喫茶でノートを広げ書く時間、そして、頭のなかの思考や空想。満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。 80冊を超えるノートからの抜粋とともに、手書きのノートを8年かけて「文字起こし」したワークショップメンバーによるそれぞれのエッセイも収録。
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鬱の本
¥1,980
版元:点滅社 B6変形判上製丸背 196頁 2023年11月刊 「小さな本を出したいね」 「小さいけれど、誰かが助かる本」 「たくさんの人が、鬱にまつわる大切な一冊について書いた本」 ー『鬱の本』 ・・・・・・・・・・・・・ 内容紹介 本が読めないときに。 鬱のときに読んだ本。憂鬱になると思い出す本。まるで鬱のような本。 84人の「鬱」と「本」をめぐるエッセイ集。本が読めないときに。 この本は、「毎日を憂鬱に生きている人に寄り添いたい」という気持ちからつくりました。どこからめくってもよくて、一編が1000文字程度、さらにテーマが「鬱」ならば、読んでいる数分の間だけでも、ほんのちょっと心が落ち着く本になるのではいかと思いました。 病気のうつに限らず、日常にある憂鬱、思春期の頃の鬱屈など、様々な「鬱」のかたちを84名の方に取り上げてもらっています。 「鬱」と「本」をくっつけたのは、本の力を信じているからです。1冊の本として『鬱の本』を楽しんでいただくとともに、無数にある「鬱の本」を知るきっかけになれば、生きることが少し楽になるかもしれないという思いがあります。 この本が、あなたにとっての小さなお守りになれば、こんなにうれしいことはありません。あなたの生活がうまくいきますように。
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母の最終講義
¥1,980
版元:ミシマ社 著:最相葉月 四六判並製変形 176 ページ 2024年01月刊 あの介護の日々は、母から私への教育だった――。 『絶対音感』『星新一』など傑作ノンフィクションの書き手であり、新聞の人生案内も人気な著者の、半生にじみ溢れる名エッセイ集。珠玉の47本。 最相葉月デビュー30周年記念企画