-
自滅帳
¥2,090
版元:晶文社 著:春日武彦 四六判並製 376頁 2025年9月刊 精神科医・春日武彦が描く、 「自滅」をテーマにした13篇の文学案内 人はなぜ自滅するのか。「死の欲動」が暗躍する闇世界に、なぜ引き摺り込まれ、沈みゆくのか──。精神科医・春日武彦が描く、「自滅」をテーマにした13篇の文学案内。海外編7作、日本編6作を取り上げ、破滅へ傾く人物たちの姿を描いていく。紹介作品は、パトリシア・ハイスミス、ジョン・チーヴァー、デルフィーヌ・ド・ヴィガのほか、吉行淳之介、林芙美子、松本清張らの短篇も含まれ、名作もあれば、忘れられた小品もある。これら作品の自滅者たちを紹介しつつ、著者自身の記憶や妄想が交錯する断章を織り交ぜて、読者をほの暗い精神の深淵に引きずり込む。好評既刊『自殺帳』の姉妹編とも言うべき内容。
-
まちは言葉でできている
¥1,980
版元:柏書房 著:西本千尋 四六判並製 216ページ 2025/10刊 都市計画の中で妊婦や子どもや障害者や女性や高齢者の存在が想定されていないこと、安全で快適な空間のためにホームレスの人々が排除されてきたこと、「公園まちづくり制度」の名の下に緑豊かな公園がなぜか消えていくこと、歴史ある町並みや昔ながらの銭湯を残すのがこんなにも難しいこと、「創造的復興」が被災者の生活再建に結びつかないこと―― 目の前にあるまちは、どのようにして今あるかたちになったのか。誰がそれに同意したのか。住民にまちを変えていく力はあるのか。「みんなのため」に進められる再開発の矛盾に目を凝らし、その暴力性に抗っていくために、専門家や行政の言葉ではなく、生活にねざした言葉でまちを語り直したい。 “すベて景色の前には「言葉」がある。わたしたちは「言葉」でまちをつくってきた。ある日突然、そこにブルドーザーが現れるのではない。必ず、その前に「言葉」がある。だからその「言葉」が変われば、ブルドーザーの現れ方も、立ち入り方も、去り方も変わり、まちのかたちも変わる。”(本文より) 「まちづくり」に関わるようになって約20年、現場で味わった絶望と反省を、各地で受け取った希望を、忘れないために記録する。ごくふつうの生活者たちに捧げる抵抗の随筆集。
-
福音派 終末論に引き裂かれるアメリカ社会
¥1,320
版元:中央公論新社 著:加藤喜之 新書判 312ページ 2025年9月刊 アメリカにおける福音派の巨大な存在感は、近年よく言及される。 しかし、彼らはどのように影響力を拡大し、トランプ大統領の誕生や再選、あるいは政治的・文化的闘争に関係していったのか。 本書は、第二次世界大戦後のアメリカの軌跡を、福音派とその背景にある終末論に着目して描き出す。 そこからは大統領の政治姿勢はもとより、中絶や同性婚、人種差別、イスラエルとの関わりなど多くの論点が見えてくる。
-
感情労働の未来 脳はなぜ他者の”見えない心”を推しはかるのか?
¥2,090
版元:河出書房新社 著:恩蔵絢子 四六判並製 244ページ 2025年10月刊 AI時代、人間が持つ最大の能力は、感情になる! 感情を抑圧し“他者にあわせる“ストレスフルな現代から、“他者を理解する“感情的知性の未来へ。人間の可能性に話題の脳科学者が迫る。
-
「休むと迷惑」という呪縛 学校は休み方を教えない
¥1,210
版元:平凡社 著:保坂亨 新書判 256ページ 2025年10月刊 なぜ仕事は休みにくいのか? 学校教育のあり方を出発点に、理不尽を我慢することに慣れた社会を「休みやすく」する方法を考える。 働き方改革が推進され、コロナ禍を経た今もなお、長時間労働はなくならず、その対策も後手に回り続けている。過労死、「自己研鑽」という労働時間のグレーゾーン、そして「定額働かせ放題」と言われる教員の働き方……。 なぜ私たちは「休むこと」をためらってしまうのか? その原因は学校教育にあった。 皆勤賞で「休まないのは良いこと」という意識を刷り込まれ、部活動を通し「休むと皆に迷惑がかかる」と考えるようになる――。 本書では、戦後の学校教育が教えてきた「休まない美徳」の問題点を指摘しつつ、誰もが休みやすい社会を作っていくためのヒントを示す。
-
オーラル・ヒストリー入門
¥1,078
SOLD OUT
版元:筑摩書房 編:佐藤信 新書判 288ページ 2025年10月 「歴史を聞いて、残す。」大学から公民館まで、政治学や社会学におけるインタビューの実践例を通して、そのノウハウを学べる一冊。
-
ホームレス文化
¥2,640
版元:キュートット出版 著:小川てつオ 四六判並製 382ページ 2025年9月3日刊 都会の公園の一角、ホームレスの集住地。20年前、そのコミュニティの豊かさに衝撃を受け、自らもテントを建てて暮らし始めた小川てつオ。 以来、排除の圧力や社会の変化をくぐり抜け、隣人たちと織りなす生活をブログ「ホームレス文化」で発信し続けてきました。本書はブログより記事を厳選・再構成し、テント村20年の生活史として世に送るものです。 差別や暴力の標的、一方で支援の対象とだけ見なされるホームレスという存在。しかし、ここには生活があり、「見えない豊かさ」がある! 「存在そのもの」で生きる魅力的な隣人たちとの日常や支え合う知恵が、いきいきとした筆致で描き出されます。公共地に暮らすことで見えてくる、この社会の本質もあぶり出されていく。本書はテント村の物語であると同時に、ホームレスの「地点」から紡ぐ、生きた思想の書でもあるのです。
-
海をこえて 人の移動をめぐる物語
¥1,980
版元:講談社 著:松村圭一郎 四六判並製 2025年09月26日 人の移動を、ひとりの人生として、世界のあり方として、どう語るか? 「私にとって「移動」という問いは、学問的な探究という枠に収まるものではない。むしろ、互いの人生に巻き込み、巻き込まれた者として課された「宿題」なのだ」(本書「はじめに」より) エチオピアの村で生まれ育ち、海外へ出稼ぎに行く女性たち。長年、村に通う文化人類学者の著者は、その話に耳を傾け、歩みを追いかけてきた。彼女たちの実感やリアリティと、海をこえて移動する人びとを国家の視線でとらえる言説と……。その隔たりをどう問い直し、語るか。考えながら綴るエッセイ。
-
「要するに」って言わないで
¥1,980
SOLD OUT
版元:亜紀書房 著:尹雄大 四六判並製 204ページ 2025年9月刊 この本が目指すのは、「自分のダメなところを変える」ことではありません。 あなたが負った傷を、そっと癒すためのセルフケアです。 そのために必要なのは、自分の話を、正しいとか間違ってるとかジャッジせずに、ぜんぶ聞くこと。 そして、勇気を出してぜんぶ語ること。
-
カウンセリングとは何か 変化するということ
¥1,540
版元:講談社 著:東畑開人 新書判 448ページ 2025年9月刊 人生の変わる場所──。 カウンセリングが、いま社会へとひらかれる。臨床心理学の歴史に打ち立てられた、新たな金字塔。 ■精神分析、ユング心理学、認知行動療法、家族療法、人間性心理学── バラバラに乱立する心理学を俯瞰し、メタな原論が示される。 ■身体を動かす、世界を動かす、からだを動かす、視点を動かす、心を揺らす── カウンセリングは聞くだけじゃない。アクティブに5つの介入がなされる。 ■いかに生き延びるか、いかに生きるか── カウンセリングには二つのゴールがある。生活を守ることと、人生をちゃんと生きること。 「カウンセリングとは、近代の根源的なさみしさのなかで、人が可能な限り、正直に、率直に、ほんとうの話をすることを試み続ける場所である。」──「5章 カウンセリングとは何だったのか──終わりながら考える」より
-
老いのレッスン
¥1,760
版元:大和書房 著:内田樹 四六変並製 208ページ 2025年9月刊 人生に必要なのは「どんな人と結婚しても、そこそこ幸せになれる能力」。思い通りにいかない人生を、機嫌よく生きるための知恵と術。
-
「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか
¥1,078
版元:新潮社 著:三宅香帆 新書判 272ページ 2025/09刊 「とっさに言葉が出てこない」「アイスブレイク的な雑談が苦手」「飲み会で昔の話ばかりする大人になりたくない」……そんな時、話題の本や漫画、最新の映画やドラマについて魅力的に語れる人は強い。エンタメには、社会や人生の「ネタバレ」が詰まってもいるからだ。ただ、作品を読み解き、その面白さを伝えるには、実は知る人ぞ知る「コツ」がある。気鋭の文芸評論家が自ら実践する「『鑑賞』の技術」を徹底解説!
-
生類の思想 体液をめぐって
¥2,970
版元:かたばみ書房 著:藤原辰史 四六判上製 288頁 2025年9月刊 大気・海洋・土壌汚染、アレルギーの増加、免疫の不調、日常化する暴力、子どもの商品化、奪われる睡眠時間……。この世界の現実をどう捉えるか。 「人間」と「環境」を根源から定義しなおし、ありえたかもしれないもうひとつの世界を描きだす。 世界の高速回転化と自己攻撃化にあらがう、驚くべき思考の集成。 ■著者からのメッセージ 人びとを「生き生きとさせないもの」とはなにか——。とくに、この列島を生きる子どもたちをみていると、そんな残酷な問いが頭から離れなくなります。子どもたちを元気づける歌をうたったり、笑わせたりすることが緊急の課題なのかもしれませんが、そんな芸当はもちろん私にはできません。ですからせめて、「生き生きとしている」とはどういうことなのか、それを邪魔しているものはなんなのか、という問いにとことんつきあってみました。本を読んだり、旅をしたり、目をつぶったりしながら考えていると、どうやらこの社会には、「もれる」や「たかる」が足りないのではないか、と思うようになりました。その考えにいたった経緯をこの本にまとめてみましたので、手に取っていただければ幸いです。
-
新版 学校では教えてくれない差別と排除の話
¥1,980
版元:皓星社 著:安田浩一 四六判並製 264 ページ 2025年9月18日 「なぜ中学や高校で差別や排除を教えないのだろう?」という著者の素朴な疑問をきっかけに、2017年に刊行された『学校では教えてくれない差別と排除の話』。5刷を記録するロングセラーの本書が、この度リニューアルしてかえってきました。外国人労働者、ヘイトスピーチ、そして沖縄。現代日本の差別と排除の問題について、豊富な現場での取材を元に語り、解決への道を示します。 新版発行にあたり、新型コロナウイルス禍による差別や排除の問題、そしてクルド人差別の現場の様子などを加筆しました。 さらに、著者の友人であり、難民問題にも取り組んでいるイラストレーター・文筆家の金井真紀さんとの対談を追加収録します。
-
食権力の現代史 ナチス「飢餓計画」とその水脈
¥2,970
SOLD OUT
版元:人文書院 著:藤原辰史 四六判並製 324ページ 2025年9月刊 なぜ、権力は飢えさせるのか? 飢餓という暴力の歴史をたどる -----史上最大の殺人計画「飢餓計画フンガープラン」。ソ連の住民3000万人の餓死を目標としたこのナチスの計画は、どこから来てどこへ向かったのか。その世界史的探究の果てに、著者は、「飢餓計画」と現代世界の飢餓を結ぶ重要人物を探り当てる。飢餓を終えられない現代社会の根源を探る画期的歴史論考。 飢餓は発見後に実在化したのではない。飢餓それ自体が、依然として、問題化と非問題化のあらそいの場なのだ。ナチスの飢餓もイスラエルの飢餓もソ連の飢餓もそれは変わらない。では、この飢餓を再び自然化する力の源とはなにか─ 本書は、このような問いから始まる。(…)飢餓は人を平等に殺さない。ここに介入するのは自然というよりは、社会であり制度であり政治である。「序章」より 第一次大戦から第二次大戦を経て、イスラエルのガザの虐殺までの現代史を、食を通じた権力の歴史、そして「施設化」した飢餓の歴史として描く!
-
アナキズムQ&A やっちゃう、やっちゃえ、やっちゃった
¥1,980
版元:筑摩書房 著:栗原康 四六判並製 320ページ 2025年9月刊 ビギナーからマニアまで。 QさんAさんの軽快なトークで、自分の中の固定観念から解放され、 人を縛る社会の仕組みから逃れ、統治から自由に生きる! === ブレイディみかこ氏、角幡唯介氏、絶賛! 「QさんAさんのウィットと叡智に満ちたアナキズム漫談。違うから、深まるんだ。 友/敵の垣根を超える方法は、アナキストが知っている」ブレイディみかこ(ライター) 「あらゆる軛(くびき)からのがれ内なる生の躍動に身をまかせるのがアナキズムなら、私もアナキストである」角幡唯介(探検家) ===
-
教育とは何か
¥2,860
SOLD OUT
版元:亜紀書房 著:ティム・インゴルド 四六判並製 328頁 2025年9月12日刊 「教育=知識の伝達」という伝統的な教育観、 そして市場原理にとらわれた教育の再生のために──。 効果的に学生─消費者へと配達される「知識の商品」は、 不確実な外部から身を守り、自己を内部に閉じ込める「知の鎧」にすぎない。 人類学の枠を超え、アート、デザイン、ビジネスの世界にまでインパクトを与え続ける思想家ティム・インゴルド。 人類学を軸に、さまざまな研究者の知見をひもとき紡がれる文章が、教育、そして生きることに、新たな視座をもたらす。
-
滅亡するかもしれない人類のための倫理学 長期主義・トランスヒューマン・宇宙進出
¥2,090
版元:講談社 著:稲葉振一郎 四六判並製 240ページ 2025年9月刊 核戦争、環境破壊、パンデミック、超AI……人類滅亡の可能性はきわめて高い。 しかしそれを切り抜けたならば、人類は宇宙を征服するだろう、と言われる。 そのとき「人類」は果たして「ヒト」だろうか? そして存続を目指すべき「人類」の範疇とは? 超未来を想定すると、問うべき倫理と答えは変わる。 イーロン・マスクやテック企業家たちを熱狂させ、先端技術の基底思想になりつつある「長期主義」を軸に、ポストヒューマニズムの最前線を追う。
-
「書くこと」の哲学 ことばの再履修
¥1,210
版元:講談社 著:佐々木敦 新書判 288ページ 2025年6月刊 読み終えると、なぜか「書ける自分」に変わっている! 37年間、書くことで生きてきた著者が明かす、技術よりも大事な思考と実践。 書くことは考えることーーあなたはなぜ「書けない」のか? 千葉雅也氏、推薦! 「より自由に書くための基礎理論がここにある。 僕も何度も読み返すことになるだろう。 何かを書こうとするすべての人にお薦めする」
-
よみがえる美しい島 産廃不法投棄とたたかった豊島の五〇年
¥2,860
版元:日本評論社 著:大川真郎 四六判上製 352ページ 2025年5月刊 わが国最大の産廃不法投棄に見舞われた瀬戸内海の豊島。自然豊かなふるさとを取り戻すために立ち上がった住民たちの勇姿を描く。
-
物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために
¥1,056
版元:講談社 著:難波優輝 新書判 240ページ 2025年07月刊 物語はなぜ苦しいのか?「物語」が過剰に要求される現代社会で、「人生とはかくあるべきだ」という押しつけに抗う。 新進気鋭の美学者による「次世代の哲学」。
-
ルッキズムってなんだろう? みんなで考える外見のこと
¥1,760
版元:平凡社 著:西倉実季 四六判並製 216ページ 2025年8月刊 ここ数年、何かと話題になっている「ルッキズム」。しかし、そもそも「ルッキズム」とはどういう意味で、どんなことを指すのでしょうか。また、「ルッキズム」は何がどのように問題なのでしょうか。中高生だけではなく、大人にいたるまで、多くの人の心をモヤモヤさせる「ルッキズム」。本書では、「ルッキズム」に関する論点を、社会学を専門とする著者が、学校の校則やミスコン、友だちとの会話など、身近な事例をもとにしながらわかりやすく解説します。読者が社会の中で外見をめぐるさまざまな問題に遭遇した際に、「ルッキズム」やそれにまつわるさまざまな問題を俯瞰的に考えられるようになるための“きっかけ”をもたらす1冊です。
-
その〈男らしさ〉はどこからきたの? 広告で読み解く「デキる男」の現在地
¥990
版元:朝日新聞出版 著:小林美香 新書版 280ページ 2025年8月刊 「24時間戦えますか」から 「おじさんの詰め合わせ」まで 栄養ドリンク、缶コーヒー、スーツ、下着、メンズ美容、ホスト看板、選挙ポスター…… CM・ポスターに刷り込まれた“理想の男性”の虚像を暴く! 缶コーヒー広告のスーツ姿と背景の高層ビル群、 「出世」や「モテ」と結びつけられるヒゲ脱毛、 決まって命令口調で真正面から睨みつける本田圭佑。 その〈男らしさ〉のイメージはどこからきて、 男性のみならず見る者の価値観に影響を与えてきたのか。 スーツ/大股/集団/腹筋/白人男性/お笑い芸人/生涯現役…… 街中の広告に潜む、これまで「なかったこと」にされてきた男性表象の問題点を炙り出す。
-
「いきり」の構造
¥1,870
版元:朝日新聞出版 著:武田砂鉄 四六判並製 260ページ 2025年9月5日刊 どうしてあんなに、自信満々なのか――。「迷惑」を忌避する社会で際立とうとして、「いきり」が幅を利かせ、暴走する。「わからないのはバカ」「別に迷惑かかってないし」「政治家になってから言えよ!」「切り取りだろ!」……。「従順」か「居丈高」か。世の中に蔓延(はびこ)る、この二択から逃れ、ちゃんと深く息を吸うために、疲弊した社会の問題点を掴まえる。社会、“私”という個人、日本人論のトライアングルの中に「いきり」を浮かび上がらせることを試みた一冊。
