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たった一人の読者を生きる

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版元:柏書房 著:荒井裕樹 B6判並製 222ページ 2026/05刊

もう誰にも動員させられたくない。この心は私のもの。あなたのもの。小さな「自分」を守ることで、誰かとつながる12の内緒話。

例えば、「世界で自分だけしか読んでいないかもしれない物語」に出会ったとき、「こんなマイナーな作品について書いたり語ったりしても無意味だよな……」と思うか、「自分が書かなければ/語らなければこの作品は存在しなかったことになってしまう」と思うかは、それぞれだと思います。

もし、あなたが後者の側に立つとして、いざ何か書き残そうとしても、そういう些細で、身近で、時に儚い出会いのエピソードは、論文のようなかっちりした形式には馴染まなかったりするものです。だから本書では「エッセイ」、それも「おしゃべり」するような言葉づかいで、少なくない読者がきっと抱いたことがあるであろう「この物語をなかったことにしたくない」というあの感覚に、迫ってみたいと思うのです。

こちらの感情や心を動員するための言葉や映像が氾濫する社会の潮流に、気づかぬうちに吞み込まれてしまわぬように、自分にとって本当に大切な「物語」について語ること、そのための居場所をつくること。そうやって大切な領域を守ることができてはじめて、私たちはきっと、ほかの誰かが大切にする「物語」のことも大切にできるのではないでしょうか。

ロングセラー『まとまらない言葉を生きる』を著した「声の小さな文学者」が新たに綴るのは、これまで語られてこなかった「たった一人の読者を生きる」という経験について。小さな「自分」を守ることで、誰かとつながる12の内緒話。

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