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センスの哲学

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版元:文藝春秋 著:千葉雅也 四六判並製 256P 2024年4月刊

なるほどこれを読むと、センスとはまず知性だなと思う。ここに書かれている「モノの見方」は、どれだけ漫然とアートを浴びていても決して辿り着くことがないだろう…そんな知的な転換がある。私たちがどういう「動物」であるかを知った上で、アートや芸術がどういう意味を持つのかを考える、そういう本質的な問いがある。

それにしてもこの本を読むと、私たちはなんと意味や物語、メッセージに縛られてアートや映画や小説や音楽を、ひいては世界を眺めているのだろうと思う。そしてその傾向は、倫理的に不寛容になりつつある人びとのモードと合わさって、日に日に強まっているような気も。

先日、「映画の中で法令違反(二人乗り)してるのが気になって、内容が頭に入ってこなかった…」みたいな感想を聞いてびっくりしたのだけど、「私たちの理解の範囲で、倫理的に正しく、欲望をきもちよく満たしてくれる…」そういうものを求める態度は、一番センスから程遠いのだろうな、と。

リズム、うねりとビート、ラカン的享楽、デモーニッシュな反復、余剰、フォーマリズム、破綻、可能性の溢れ、アンチセンス…そんな哲学や精神分析、時間論などの概念を縦横無尽に参照しながらも、とにかく親切で、わかりやすい。何はともあれ、エッセンスが心に残る。そんなすばらしい「入門」的一冊だと思いました。

ちなみに私は、「なんだかすごく、蓮實重彦を感じる…」と思いながら読み進めていたのですが、「この本のアプローチは、三分の一くらい蓮實的なもの」と書かれていてなるほどなと。私も「表層批評」に世界の見方を変えられた口なので。最高です。

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