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女の子たち風船爆弾をつくる

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版元:文藝春秋 著:小林エリカ 2024年5月刊 395P 四六判上製

和紙とコンニャク糊でつくられた「風船爆弾」で、「原子爆弾」に対抗しようとした国が生み出した、風船のようにフワフワとして、桜の花びらのようにハラハラと儚い、戦争文学の傑作だと思う。

とてもとても丹念に、緻密に、膨大な資料から戦争の姿を描いたとんでもない「労作」なのに、重厚さを一切感じさせない、なんと「ふわふわ」した語りなのだろう…。

お話は、日本からアメリカに放たれる「風船爆弾」づくりにmいつの間にか動員されていくふつうの少女たちの物語。そこに、少女らの憧れ・宝塚歌劇団のお姉さんたちの物語も絡まり合っていく、というもの。

「わたし」と「わたしたち」が溶け合うような独特すぎる文体とも相まって、あたかもわたし自身が少女になって、戦争を体験しているような感覚に。とにかく音楽的で、小さきものに寄り添い続ける語り口がすばらしい。

だけど「か弱き無力な被害者」としてではなく、戦争の空気を吸い、たしかに戦争の一部でもあったような存在として少女たちは描かれる。同時に、社会がどんな緊迫した状況になっても、華やかなものへの憧れ、オシャレへの気遣い、女の子同士の楽しい時間もあって、どこかから少女たちのクスクス笑いが聞こえくるよう。

たとえば歴史上重要な人物はあえて名前で呼ばれず、逆に無名の少女たちは名前と共に描かれたりとか、宝塚歌劇団の足取りと重ねて、ヨーロッパ、アメリカ、満州、朝鮮など世界各地の戦況が巧みに描かれたりとか、ひとつひとつのディテールに深みがあり、考えさせられる。ふわふわしてるけど、ずしりと重い一冊。

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