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共感と距離感の練習
¥1,760
版元:柏書房 著:小沼理 四六判並製 208ページ 2024年5月刊 「わかるかも」が口癖のあなたへ。 【内容】 初めて物語の中に私に似た人を見つけた日のこと、東京とソウルで参加したプライドパレードのこと、日本の同性婚訴訟やパートナーシップ制度のこと、同じ時代を生きている/生きていたクィアのこと―― 誰かの痛みや怒りや悲しみが、まるで自分のことのように思えることがある。乳化した水と油のように混ざり合ってしまう。だけどあなたはあなたでしかなく、私は私でしかない。他者同士である私たちが、重なったりずれたりしながらともにあるための、「共感」と「距離感」。その可能性と難しさについて。 「わかる」なんて簡単に言えない、「わからない」とも言いたくない。ゲイとして、シスジェンダーの男性として、著者が日常の中で直面したエピソードを描きます。 “共感も距離感もうまく使いこなせない。だからこそこだわってしまうのだろう。なんとか組み合わせて、練習しながら上手になっていきたい。混ざり合った世界と分離した世界を同時に生きるように。言葉にならないものと言葉を重ねて一つにするように。” ――「はじめに」より 自分と他者、規範と逸脱、個人的なことと社会的なこと……様々なものごとのあわいにとどまり、揺れながら考えるエッセイ集。 【著者略歴】 小沼理〈おぬま・おさむ〉 1992年、富山県出身、東京都在住のライター・編集者。著書に『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』(タバブックス)。本書がはじめてのエッセイ集となる。
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センスの哲学
¥1,760
版元:文藝春秋 著:千葉雅也 四六判並製 256P 2024年4月刊 なるほどこれを読むと、センスとはまず知性だなと思う。ここに書かれている「モノの見方」は、どれだけ漫然とアートを浴びていても決して辿り着くことがないだろう…そんな知的な転換がある。私たちがどういう「動物」であるかを知った上で、アートや芸術がどういう意味を持つのかを考える、そういう本質的な問いがある。 それにしてもこの本を読むと、私たちはなんと意味や物語、メッセージに縛られてアートや映画や小説や音楽を、ひいては世界を眺めているのだろうと思う。そしてその傾向は、倫理的に不寛容になりつつある人びとのモードと合わさって、日に日に強まっているような気も。 先日、「映画の中で法令違反(二人乗り)してるのが気になって、内容が頭に入ってこなかった…」みたいな感想を聞いてびっくりしたのだけど、「私たちの理解の範囲で、倫理的に正しく、欲望をきもちよく満たしてくれる…」そういうものを求める態度は、一番センスから程遠いのだろうな、と。 リズム、うねりとビート、ラカン的享楽、デモーニッシュな反復、余剰、フォーマリズム、破綻、可能性の溢れ、アンチセンス…そんな哲学や精神分析、時間論などの概念を縦横無尽に参照しながらも、とにかく親切で、わかりやすい。何はともあれ、エッセンスが心に残る。そんなすばらしい「入門」的一冊だと思いました。 ちなみに私は、「なんだかすごく、蓮實重彦を感じる…」と思いながら読み進めていたのですが、「この本のアプローチは、三分の一くらい蓮實的なもの」と書かれていてなるほどなと。私も「表層批評」に世界の見方を変えられた口なので。最高です。
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波打ちぎわの物を探して
¥1,980
版元:晶文社 著:三品輝起 四六判並製 244頁 2024年1月刊 物とのつきあい方、物を売り買いする感覚が、ここ20年くらいですっかり変わってしまったようだ。『すべての雑貨』『雑貨の終わり』も素晴らしかった、雑貨屋店主・三品さんによる本書を読むと、そのことに否が応でも気付かされる。 音楽は広大なストリーミングの海から見つけ出すものになり、本の並ぶ空間は格好のフォトスポットになり、お店は「文化を守る」ため皆から支援されるべき存在となり、物のあふれる汚部屋は職住一体化したミニマルな映え空間になり、メルカリは所有感覚を一掃してしまった… そんな、すべての空間とすべての時間(可処分時間…)が市場化される世界で失われつつある物とのつながりを、この本は社会学的な視点と、静かな思い出語りを交えながら、ぼんやりと浮き上がらせる。 本の話も多くて、知の巨匠・松岡正剛の壮大な編集空間・松丸本舗での甘美な経験と、その閉店、そしておなじく松岡氏が携わった角川武蔵野ミュージアムで本棚を背景に写真を撮るインスタグラマー達に遭遇する、という一連の流れは、とても残酷で、本もまた「雑貨化」から逃れられないのだ、という思いを強くするなど。 「正当さも芸術性も歴史も文化も欠いた雑貨という物を、せこせこと売るごっこ遊びのごとき感覚が、気づくと世界のいたるところに広がっている気がした。」とか、ほんと、その通りすぎるよ。
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RITA MAGAZINE テクノロジーに利他はあるのか?
¥2,640
版元:ミシマ社 編:未来の人類研究センター B5判変形 224 ページ 2024年2月刊 文理共創の新しい知のかたちが、ここに。 東京工業大学の中で、利他研究会が発足してから4年。 AI、ロボット、情報科学が劇的に進化する時代に、利他はどうありうるのか? 「漏れる」工学、「野生の思考」とテクノロジー、「共感」を前提とせずに「共にいる」… 「利他」論考の決定版。 伊藤亜紗/中島岳志/北村匡平/さえ/砂連尾理/三宅美博/三宅陽一郎/稲谷龍彦/藤原辰史/真田純子/塚本由晴/ドミニク・チェン/山本真也/小林せかい/磯﨑憲一郎/木内久美子/國分功一郎/山崎太郎/若松英輔
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小山さんノート
¥2,640
版元:エトセトラブックス 編:小山さんノートワークショップ 四六判変形・並製 288ページ 2023年10月刊 「小山さん」と呼ばれた、ホームレスの女性が遺したノート。 時間の許される限り、私は私自身でありたいーー2013年に亡くなるまで、公園で暮らしながら、膨大な文章を書きつづっていた小山さん。町を歩いて出会う物たち、喫茶でノートを広げ書く時間、そして、頭のなかの思考や空想。満足していたわけではなくても、小山さんは生きるためにここにいた。 80冊を超えるノートからの抜粋とともに、手書きのノートを8年かけて「文字起こし」したワークショップメンバーによるそれぞれのエッセイも収録。
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決めつけてはいけません、他人を。何より自分を。 気楽さとやさしさの倫理学
¥1,980
SOLD OUT
版元:夜間飛行 著:秋田道夫 四六判変型判 305ページ 2024年1月刊 今晩から、あなたが自分のことをもっと「大切」にできますように。「世界」は思うより広く、「細部」は思うよりはるかに美しい。機嫌よく働き、日々を過ごすための言葉集。
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アートと人類学の共創 空き家・もの・こと・記憶
¥4,400
版元:水声社 著:服部志帆+小野環+横谷奈歩 A5判上製 312頁+カラー別丁64頁 2024年1月刊行 一軒の空き家に残された「もの」から、いかにして人びとの生を描き出し、歴史を語り継ぐことができるのか。人類学者とアーティストは、それぞれの立場からこの問いに向き合い、「もの」たちの声に耳をすます。写真、家具から柱、果てはつもった埃に至るまで、空き家をくまなく探索することで浮かび上がったのは、ひとつの空き家を軸にした、ある家族の生きざまと塩江町の人びとの繋がりだった。今はなき人びとの記憶を継承するために、アートと人類学に何ができるのか。分野の壁を超えた挑戦的なプロジェクトの軌跡。
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母の最終講義
¥1,980
版元:ミシマ社 著:最相葉月 四六判並製変形 176 ページ 2024年01月刊 あの介護の日々は、母から私への教育だった――。 『絶対音感』『星新一』など傑作ノンフィクションの書き手であり、新聞の人生案内も人気な著者の、半生にじみ溢れる名エッセイ集。珠玉の47本。 最相葉月デビュー30周年記念企画
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野生のしっそう ー障害、兄、そして人類学とともに
¥2,640
版元:ミシマ社 著:猪瀬浩平 四六判並製変形 304 ページ 2023年11月刊 知的障害があり自閉症者でもあるが、さまざまな鋭さをもった兄。障害がないとされているが、さまざまないびつさをもった弟(著者)。世間には、この兄と弟を切断する「ものの見方」があたりまえに存在する。 しかし、その分断をすり抜けてしまうある出来事が起こった。 2021年3月、コロナの感染拡大による緊急感が高まるなか、兄は突然しっそうする―― どこへ向かったのか? なぜしっそうしたのか? その道筋を辿りながら見えてきたのは、兄の「たたかわない」術だった。 外なる他者、遠くの他者を扱ってきた文化人類学に、あらたな道を拓く実践の書! 「障害とともにある人類学」から始まり、「内なる他者」を対象とした人類学へと展開する、あたらしい学問のあり方。
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『忘れられた日本人』をひらく 宮本常一と「世間」のデモクラシー
¥1,760
版元:黒鳥社 著:畑中章宏 若林恵 B40判 208p 2023年12月刊 めちゃくちゃによい。ひたすら刺激的で、常識がひっくり返り、これからの社会をどう生きるかのヒントが溢れてる。人文書まわりでお客さんにおすすめを聞かれたら、しばらくこの本をオススメしちゃいそうな予感… 「村社会」や「世間」と言う言葉には、すごくネガティブなニュアンスが付着してしまっているけど、実はそこには現代よりもよっぽど良くできた合意形成の仕組みや、コミュニティを成立させる知恵があって、本当に驚かされる。明日も顔を合わせて生きていかなきゃいけない環境では、「論破」なんてまったく意味がないのだ…。 タイトルの通り、民主主義・公共・合意形成あたりが中心的なテーマだけど、話はあちこちに広がり、個人的には、財布を握った女性が仕事をサボり賭博に明け暮れたり、夫が気に入らなかったら何度も離婚を繰り返したりと、女性が気ままに生きやすい社会があったのだ、という話がおもしろかった。 グレーバーやイリイチ、ユクスキュル、鶴見俊輔などあちこちを参照しながら、『忘れられた日本人』を「いま」に接続して読み直す大変刺激的な対談集。民俗学ってこういう風に「使える」のだな〜、と。なので民俗学の入り口としても案外よいかもしれません。
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50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと
¥1,980
そうだ、社会を、政治を変えるのは、私だ。でも、どこに向けて声をあげたら届くんだろう?(…)年をとっていく私が未来に向かって安心して暮らせる社会は、どういうもの? ー『50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと』(和田靜香) ・・・・・・・・・・ 和田靜香 (著) そうだ、社会を、政治を変えるのは、私だ。でも、どこに向けて声をあげたら届くんだろう?(…)年をとっていく私が未来に向かって安心して暮らせる社会は、どういうもの? ー『50代で一足遅れてフェミニズムを知った私がひとりで安心して暮らしていくために考えた身近な政治のこと』(和田靜香) 出版社 : 左右社 (2023/9/27) 発売日 : 2023/9/27 単行本(ソフトカバー) : 248ページ
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根っからの悪人っているの?: 被害と加害のあいだ (シリーズ「あいだで考える」)
¥1,760
ある人が加害者になるまでのあいだには、何かしらの出来事があるわけで。だから、加害者になってしまうかもしれない、そのあいだに起こることを、まわりの人が支えたり、言葉をかけたり、一緒に考えたり、っていうサポートがあれば…。 ー『根っからの悪人っているの? 被害と加害のあいだ』坂上香 ・・・・・・ 坂上 香 (著) 根っからの悪人っているの?――被害と加害のあいだ』 著者の映画作品『プリズン・サークル』は、日本で1か所だけ、刑務所の中で行われている「TC(回復共同体)」という対話による更生プログラムを、20 代の受刑者4 人を中心に2 年間記録したドキュメンタリー。本書は、この映画を手がかりに、著者と10 代の若者たちが「サークル(円座になって自らを語りあう対話)」を行った記録である。映画に登場する元受刑者の2 人や、犯罪被害の当事者をゲストに迎え、「被害と加害のあいだ」をテーマに語りあう。(装画:丹野杏香) 出版社 : 創元社 (2023/10/17) 発売日 : 2023/10/17 言語 : 日本語 単行本 : 192ページ
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ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う
¥1,760
かなしみが、何かを愛したところに生まれるものであるなら、生きるとは、かなしみを育むことである。 ー『ひとりだと感じたときあなたは探していた言葉に出会う』(若松英輔) ・・・・・・・・・ 若松 英輔 (著) 〈 迷い、悩み、疲れているあなたへ 〉 NHK「100分de名著」の人気指南役が贈る、目まぐるしい日々を生きるあなたに寄り添う言葉。 --------- 〈 自分を支える言葉は、実は自分自身の中にすでにある 〉 生きていくうえで、何が大切なのか。どこを目指して進めば良いのか。 迷いのなかから再び立ち上がり、前を向いて歩き始めるために、「自分だけの一語」を探す心の旅の導きとなる一冊。 --------- 年齢を重ねると自然に生活の幕は開く。勉強の期間を終え、仕事に従事するようになれば、生活との格闘はいやでも始まる。 だが、人生の扉が開く時期は人それぞれだ。早ければ早いほどよい、というのではない。ただ、どこかでその扉にはふれなくてはならない。 人は、自分の人生を生きない毎日を送り続けることはできないからである。 生活は水平的な方向のなかで広がりを求めて営まれるのに対して、人生は一点を掘り下げるようにして深まっていく。 生活のなかで人は、多くの言葉を知る。そうすることで会話も読書も執筆もできるようになる。 だが人生の一語は、そうした場所では出会わない。それはいつも切実な経験とともにある。 その言葉とは、広がりのなかではなく、深みにおいて遭遇する。 〈「人生の一語」より〉 出版社 : 亜紀書房 (2023/9/22) 発売日 : 2023/9/22 言語 : 日本語 単行本 : 152ページ
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慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話
¥1,980
ワクワクだけでも足りません。ヒヤヒヤするかもしれませんし、何か責められたような気分でイライラしたり、何様だコイツ、という思いでムカムカするかもしれません。 ー『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話』(森山至貴・能町みねこ) ・・・・・・・・・・・・ 森山至貴 (著), 能町みね子 (著) “みんな”でいたくない“みんな”のために 「LGBT」に分類して整理したら、終わりじゃない。 「わからない」と「わかる」、「マイノリティ」と「マジョリティ」を 行き来しながら対話する、繊細で痛快なクィアの本。 ときに反抗的で、しなやかな態度は明日への希望に――。 性、恋愛、結婚、家族、子孫、幸福、身体、未来―― バラバラのままつながった壮大な「その他」たちが、 すべての「普通」と「規範」を問い直す。 「『普通』や『みんな』という言葉に己を託したり託さなかったり、託せたり託せなかったりする読者のみなさんを、風通しのよい、というよりは強風吹きすさぶ場所へと連れて行ってしまおうというのが私たちの企みです。どうぞ、遠くまで吹き飛ばされてください」(森山至貴「はじめに」より) 「ワクワクだけでも足りません。ヒヤヒヤするかもしれませんし、何か責められたような気分でイライラしたり、何様だコイツ、という思いでムカムカするかもしれません。逆に、全然言い足りてないぞ、と思うこともあるかもしれません。そのくらいのほうが普通じゃないかと思います。そのくらいでないと、私たちも語った甲斐がありません」(能町みね子「おわりに」より) 出版社 : 朝日出版社 (2023/7/1) 発売日 : 2023/7/1 言語 : 日本語 単行本(ソフトカバー) : 320ページ
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私のアルバイト放浪記
¥2,197
版元:土曜社 著:鶴岡いづみ A5判ペーパーバック 2023年 4月刊 『私のアルバイト放浪記』 頭部モデル、測量会社従業員、水道検針員、梅調査員、お掃除スタッフ… そんな、ちょっと変わったアルバイトのフィールドワークぽくもあり、同時に人生にさまようひとりの人間のドキュメントのようでもあり。 土曜社から出ている、いくつかの整体の本でチラッと知っていた鶴崎いづみさんの、アルバイト体験をマンガで描いた本書。職場の人間関係や、働く人のひととなり、空気感が伝わってくる感じが、とても良い。鶴崎さんは「観察の人」なのだなぁ、と。 とはいえ、お金をもらうためと割り切ってはじめたアルバイトでも案外に、生活にまで心配事やら何やらが侵食してくるのが大変にリアル。割り切り、を許さない何かが職場というものにはあるのだな、と。 そして、そういう諸々が「己の必然を発見する自己観察の過程」だったという一文には深く動かされました。そう、働いてみてはじめて、自分が仕事のどの部分がダメとか苦では無いとか、発見できるんだよな〜。
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沖縄の生活史 単行本
¥4,950
あの頃の東京はね、お店の正面に「沖縄者お断り」って書いてあったんだよ。野蛮人と言ってから ー『沖縄の生活史』 ・・・・・・ 石原昌家 (監修), 岸政彦 (監修), 沖縄タイムス社 (編集) 2022年5月に、日本復帰50年を迎えた沖縄。これを節目として、沖縄の歴史とともに生きてきた人々の来し方を聞き取って文章に残そう、という沖縄タイムス社の企画が結実したのが本書である。 沖縄タイムス紙上での募集に応えた「聞き手」たちが、それぞれ思い思いの「語り手」を選び、その人生を聞き取って生活史として仕上げた。紙上に、およそ半年以上にわたって連載された85篇に加え、新聞には掲載しなかった15篇を合わせた、計100篇の生活史がここにまとめられている。巻頭と巻末にはそれぞれ、監修者のまえがき、あとがきを収録する。 「私は本書のどの語りの、どの部分を読んでも、深い感慨と感動をおぼえます。ここには語り手たちが経験した「沖縄の戦後」が、確かに存在するのです」 (岸政彦、まえがきより) 「数多くの沖縄の人たちから聞き取りしてきたにもかかわらず、庶民の生活の奥深くに分け入り、心の襞に触れるところまでは、聞き取りはしていなかったか、と思わざるを得ない語りにも出会えました」 (石原昌家、あとがきより) 出版社 : みすず書房 (2023/5/16) 発売日 : 2023/5/16 言語 : 日本語 単行本 : 880ページ
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ルポ ゲーム条例 なぜゲームが狙われるのか
¥1,892
香川が舞台の『ルポ ゲーム条例 なぜゲームが狙われるのか』(山下洋平)、入りました ・・・・・・・・・ 山下 洋平(やました・ようへい)著 KSB瀬戸内海放送記者。1979年、香川県生まれ。東京大学文学部卒業後、放送局に入社。ニュース取材やドキュメンタリー制作を行う。著書に『あの時、バスは止まっていた 高知「白バイ衝突死」の闇』。 版元:河出書房新社 著:山下洋平 四六判変形並製 256ページ 2023年4月刊 ゲームは1日60分まで――香川県議会で採決された「ゲーム条例」。不透明な制定過程や科学的根拠に疑問を抱いた報道記者が真相に迫り、地方から民主主義のあり方を問うノンフィクション。 「地方にこそジャーナリズムは生きている。 日本社会の今を地方の視点から写照する、調査報道ノンフィクションの傑作」 ——松本創(ノンフィクションライター) 「限られた人たちで空気を作り、あらかじめ決められた方向に持っていこうとする。 ここに書かれているのは、今、あちこちで起きていることだ」 ――武田砂鉄(ライター)
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自分に語りかける時も敬語で -- 機嫌よく日々を送るための哲学
¥1,760
『自分に語りかける時も敬語で』 ちょっと疲れてるのだろうか。 お守りになるような本、指針となるような格言、ざわついた心を落ち着かせてくれる言葉… そういうものがすごく沁みる、今日この頃。 いや、多分それは単なる疲れじゃないとのだと思う。これまで信じていた価値観が揺らぎ、日々めまいのするような情報に晒されながら毎日を生きている現代人には、拠り所となるような言葉が必要なのだ、と切実に思います。 この「機嫌よく日々を送るための哲学」という副題が付けられた本書は、まさにそんな「お守り」のような本。プロダクトデザイナーである秋田さんの言葉は、シンプルで的を得ていて、鋭さの中にも、心を落ち着かせてくれるどっしりとした優しさがある。どんなに揺らいでも、ここに立ち返れば大丈夫と思えるような安心感がある。 この本を読み返すたびになんだか、ボンヤリした優しい人間になりたいな、という気持ちになるのでした。 ・・・・・・・・・ 大切なのは 「自らが恥をかく勇気」と 「相手に恥をかかせない配慮」だと思います。 ー『自分に語りかける時も敬語で』(秋田道夫) ・・・・・・・・・・・ 秋田 道夫 (著) 世間のことを知らないことを「世間知らず」とは言いません。 人にある感情の機微を理解できない人を「世間知らず」と言うのです――本文より ――1時間後、1年後、10年後、あなたが自分の人生をもっと気に入りますように SNSフォロワー10万人突破! 人気プロダクトデザイナー初の著書! 仕事にも暮らしにも効く言葉集。 〈仕事のできる人が優しいと職場がハッピーです。〉 〈大切なことは「自らが恥をかく勇気」と「相手に恥をかかせない配慮」だと思います。〉 〈人を「賢い人」と言える人は賢い人だと思っています。〉 今日、明日、半年後、あなたとあなたの周りに笑顔が増えますように 出版社 : 夜間飛行 (2022/11/30)
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とまる、はずす、きえる ケアとトラウマと時間について
¥2,200
版元:青土社 著:宮地尚子・村上靖彦 四六判並製 249P 2023年4月刊 トラウマ研究と、医療・福祉の現象学の第一人者が、 具体と抽象を行き来しながら紡ぎ出す、比類なき対談集。 「学問的な硬い概念では取りこぼされる人間の経験の微細なニュアンスについて、考察することへと宮地さんも私もいざなわれた(「まえがき」より)」――村上靖彦 「表面的な言葉の群れにとどまらない、なにか微かだけれども、底流に流れている大切なものを拾い続けられたらと思う(「あとがき」より)」――宮地尚子
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香川にモスクができるまで
¥1,980
この本の魅力をお伝えするために、何よりまず言っておきたいのは、兎にも角にも「とんでもなくおもしろい」という事。 出てくる人たちはどこまでも人間くさくチャーミング。フィクションよりもドラマチックな出来事が次々起き、思わず笑ってしまう細部に満ちてる。そして何より、こんなにも深い情熱、他者への優しさ、共同体の結束は、いまの私たちの社会ではなかなか見れないものだな、と思う。 文字どおり、香川にモスクを建立しようというムスリムたちを追った一冊なのだけど、並走する著者が、ムスリムの知恵やどっしりした人間性に深く感銘を受け、自分自身も変わっていく…という過程がすばらしい。そして、この本を読んでいる私たちも、同じように自分自身を見直し、変容せざるを得ない。本当の共生とは、他者から学び自らを変容する営みなのだな、と。 「他者」と共に生きるとはどんな事かを、こんなに肌感覚で感じられる本はなかなかないのでは、と思いました。 あと、ちょっと変な感想ですが、私たちが失ってしまった謙虚で寛容な人間性と、深い共同体の知恵を思い出させてくれる…という意味で、渡辺京二の『逝きし世の面影』や宮本常一の『忘れられた日本人』のような読後感を持ちました。 ・・・・・・・・・・ 岡内大三(オカウチダイゾウ) ライター/編集者。香川県在住。1982年生まれ。海外居住やバックパックでの旅を通じて、異文化に触れてきた。2011年に東京の出版社を退社し、フリーランスに。移民、少数民族、難民などを取材し、ノンフィクション記事を執筆。土着的な音楽や精神世界などにも興味を持ち、国内外で取材を続けている。近年は文章に軸足を置きつつ、リサーチをベースにした映像作品も制作。身体表現や生け花などのパフォーマンスをメディアと捉えなおし、ストーリーテリングの手法を模索している。 ・・・・・・・・・・・ 日本で暮らす移民は増え続けている。香川県には、2022年時点で約800人のインドネシア系ムスリムからなるコミュニティーが存在するが、信仰のための施設《モスク》はまだない。 信仰にとってモスクとはどのような存在なのか? そもそもイスラム教とはどのようなものなのか? モスク建立に奔走する長渕剛好きのインドネシア人フィカルさんとの出会いから、著者は祖国を離れ地方都市で暮らす彼らのコミュニティーに深く関わるようになっていく──。 出版社 : 晶文社 (2023/1/26)
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それでも女をやっていく
¥1,540
「女」をうまくやれていないのではないかと疑心暗鬼になる瞬間も、あまりにもなめらかに順応し過ぎたように感じる瞬間も、どこかへ逃げ出したくなる。 ー『それでも女をやっていく』(ひらりさ) ・・・・・・・・・・・・・・ ひらりさ (著) 「肥大化した自意識、『女であること』をめぐる様々な葛藤との向き合い方。 自分の罪を認めて許していくこと。 その試行錯誤の過程がこれでもかというほど切実に描かれていて、 読み進めるのが苦しくなる瞬間さえある。 それでもここで描かれているりささんの戦いの記録に、私自身も戦う勇気をもらうのだ」 出版社 : ワニブックス (2023/2/6)
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WORKSIGHT[ワークサイト]18号 われらゾンビ
¥1,980
WORKSIGHT編集部 (編集), 若林 恵 (編集), ヨコク研究所 (編集), 黒鳥社 (編集), 山下 正太郎 (編集), 宮田 文久 (編集) ゾンビはわたしたち ゾンビは、その発祥から資本主義と深く関わってきた。カリブ海のプランテーションから、消費資本主義、グローバル資本主義、金融資本主義と、資本主義が進化するに連れてゾンビも進化する。そのとき、ゾンビは、単なる比喩を超えて、わたしたちそのものの姿となる。ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロから、『新感染 ファイナル・エクスプレス』『今、私たちの学校は...』など、世界を席巻する「韓国ゾンビ」まで。ゾンビを知ることは、わたしたち自身を知ることなのだ。 出版社 : 学芸出版社 (2023/1/31)
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聞く技術 聞いてもらう技術 (ちくま新書 )
¥946
ボールのようにして絶望や孤独を他者に預けることができること、すると心の中の空いたスペースに小さな希望とつながりの感覚が生じること。人間と人間の間には、そういう神秘が存在するよと思うのです。 ー『聞く技術 聞いてもらう技術』(東畑開人) ・・・・・・ 東畑 開人 (著) 聞かれることで、ひとは変わる――。 カウンセラーが教える、コミュニケーションの基本にして奥義。 小手先の技術から本質まで、読んだそばからコミュニケーションが変わる、革新的な一冊。 「「聞いてもらう技術」? ふしぎな言葉に聞こえるかもしれません。その感覚をぜひ覚えておいてください。このふしぎさこそが、「聞く」のふしぎさであり、そして「聞く」に宿る深い力であって、この本でこれから解き明かしていく謎であるからです。」 ――本文より 出版社 : 筑摩書房 (2022/10/11)
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君は君の人生の主役になれ (ちくまプリマー新書)
¥968
あなたは「正しさ」を切望しながらも、聞こえのいい「正しさ」に安易に寄っかかることなく、自分独特の道を探っていかなければなりません。。なぜなら、そのような手探りの独創だけが、きっとあなたの人生を根底から支えてくれるからです。 ー『君は君の人生の主役になれ』(鳥羽和久) ・・・・・・・・・・・・ 鳥羽 和久 (著) 学校や家族の中でどうすれば「普通」になれるかを耳打ちする大人の中で育ったあなたは、安心を求めるばかりですでに自分独特の生き方を失っている。そんな子どもと大人が生き直すための一冊。 出版社 : 筑摩書房 (2022/10/11)