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世界の適切な保存(サイン入り)
¥1,870
著・文・その他 永井玲衣 自身の半径1メートルで起こった出来事から、今、世界を脅かす戦争まで。 見ること、言葉を紡ぐことをあきらめない著者の真摯で誠実な視線が胸をうつ、 この「世界」と向き合うための哲学エッセイ。 出版社(メーカー名) 講談社 本体価格(税抜) ¥1,700 発行日 2024/7/23
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その国の奥で
¥3,190
著・文・その他 J・M・クッツェー 翻訳 くぼた のぞみ 0世紀初めの南アフリカ。人里離れた農場に暮らす孤独な娘と、若い黒人女を得た父の葛藤を激しく暴力的に描く傑作。植民地社会の矛盾とディスコミュニケーション。映画化。新訳決定版。 欲望、堕落、幻想を見極めようとする力作──オブザーバー紙 めくるめく緊迫感が最後までゆるまない筆致──デイリーテレグラフ紙 植民地支配の歴史を生きた者たちの、人種と性をめぐる抑圧と懊悩を、 ノーベル賞作家が鮮烈に描いた、濃密な、狂気の物語。 語りと思考のリズムを生かした新訳決定版!!! 「父さん、許して、そんなつもりじゃなかった、 愛してる、だからやったの」 20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく……。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!! 出版社(メーカー名) 河出書房新社 本体価格(税抜) ¥2,900 発行日 2024/07/23 頁数 264 判型 46変形
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ポール・ケアホルム 時代超えたミニマリズム
¥3,795
編集 パナソニック汐留美術館 監修 織田憲嗣 「家具建築家」と呼ばれ、究極のミニマリズムと造形美を追求したケアホルム。 家具デザインの第1人者ウェグナーに見出され、51歳で生涯を閉じるまでの 貴重な名品を収録した国内初となる書籍 北欧モダンデザインを代表する家具デザイナーの1人であるポール・ケアホルム(1929-1980)。 ミッドセンチュリー期の北欧家具といえば温もりある木調のデザインを思い浮かべますが、ケアホルムの特徴は石や金属など硬質な素材を取り合わせた厳格なデザインにあります。日本の建築ともよく合い、愛好家の間でも根強く支持されている存在です。 本書は椅子研究家である織田憲嗣コレクションの中から重要作品約50点を中心に、貴重な図面や資料写真を豊富に収録。 「椅子が素材や道具の個性と共鳴する自然な形を持つこと。 そのことが構築的に明らかとなるようにしなければならない。 椅子の美しさを最大限に引き立てなければならない」 「家具建築家」と呼ばれ、究極のミニマリズムと美しさを備えたケアホルムの、 洗練された造形美とデザイン哲学を凝縮した決定版です。 出版社(メーカー名) 青幻舎 本体価格(税抜) ¥3,450 発行日 2024/07/12 頁数 208 判型 A4変形
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職場で傷つく リーダーのための「傷つき」から始める組織開発
¥1,870
「職場で傷つく」ということは、おそらく十中八九起きていることなのに、意図的に口外されない、なきものとされるーーこれはどういうことなのか? ー『職場で傷つく』(勅使川原真衣) ・・・・・・・・・・・・y 著・文・その他 勅使川原 真衣 『「能力」の生きづらさをほぐす』で鮮烈なインパクトを残した気鋭のコンサルタントが、なきものとされてきた「職場の傷つき」に着目し、これからの組織開発のあるべき道筋を探る意欲作。 1ON1、対話、パーパス、人的資本経営、ウェルビーイングなど、目新しい言葉に飛びつく前に、まずその「傷つき」に「気づく」ことから、始まる。 「能力主義」の限界に気づき始めたすべての人へ。 出版社(メーカー名) 大和書房 本体価格(税抜) ¥1,700 発行日 2024/07/20 頁数 304 サイズ(mm) 縦188 × 横130 × 厚さ16 判型 46
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中学生から知りたい パレスチナのこと
¥1,980
版元:ミシマ社 著:岡真理・小山哲・藤原辰史 四六判並製 224 ページ 2024年07月刊 この本から、始まる 新しい世界史=「生きるための世界史」 あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。 アラブ、ポーランド、ドイツを専門とする三人の対話から はじめて浮かび上がる「パレスチナ問題」。 世界史は書き直されなければならない。 *** 岡「今、必要としているのは、近代500年の歴史を通して形成された『歴史の地脈』によって、この現代世界を理解するための『グローバル・ヒストリー』です」 小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」 藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」 ***
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テヘランのすてきな女
¥1,980
版元:晶文社 著:金井真紀 B6変型判並製 320頁 2024年6月刊 おおらかで、温かい。カッコよくて、勇気づけられる。でも気がつくと、ハラハラと涙が出てきて止まらない… そんな、すべてのお客様にゴリ押しでおすすめしたくなる、最高すぎる一冊なのでした。 本書は『パリのすてきなおじさん』や『世界はフムフムで満ちている』などでおなじみ、聞き書きの達人・金井真紀さんによる、テヘランの女たちのインタビュー&スケッチ集。 公共の場ではスカーフの着用が義務付けられていたりと、イランの女性たちの置かれる状況は、日本とは比べ物にならないほど窮屈。 だけどテヘランの女たちは、縮こまってなんかいない。反抗したり、諦めたり、こっそりルールを逸脱し、悲しみを胸に秘めながら、おおらかに生活を楽しみ、ズンズンと人生を前に進めてる。 誰かのせいにしないで、制約の中で精一杯人生を生きる、パワフル&聡明&おおらかな女性たちの姿が、とにかく眩しい。元気が出る。最高〜
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さあ、本屋をはじめよう 町の書店の新しい可能性
¥2,200
版元:P-VINE 監修:和氣正幸 四六判並製 192ページ 2024年6月刊 書店は文化である。今、本屋が熱い! 出版不況が叫ばれる中、独立書店と呼ばれる「新しい形の町の本屋」が次々と開店している。今日も日本中で個性的な魅力のある空間が生み出されている。 そこで本書では18人の書店主たちの貴重な体験の証言により、不況でも情熱とアイデアで本屋を始められる時代に生まれた、現代の “本屋のかたち” を探る。 (登場書店 全18店名) フラヌール書店/なタ書/本屋ルヌガンガ/シカク/ON READING/BOOKSHOP本と羊/機械書房/mountain bookcase/そぞろ書房/twililight/アルスクモノイ/本屋象の旅/FOLK old book store/READAN DEAT/YATO/ひるねこBOOKS/WARP HOLE BOOKS/BOOKSHOP TRAVELLER
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映画とポスターのお話
¥3,740
版元:白泉社 著・文 ヒグチ ユウコ 大島 依提亜 2024年7月刊 ヒグチユウコの絵と大島依提亜のデザインによる珠玉の映画ポスター40点余りを収録し、二人で映画の魅力を語り尽くした画集のような1冊。 登場作品/アリ・アスター「ミッドサマー」、ジム・ジャームッシュ「ダウン・バイ・ロー」、宮崎駿「風の谷のナウシカ」、是枝裕和「誰も知らない」、フェデリコ・フェリーニ「悪魔の首飾り」、アルフレッド・ヒッチコック「めまい」など。
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シン・ファイヤー
¥2,200
SOLD OUT
お金って、生きていく手段としていちばんとっつきやすいものではあるから、最初はみんなそこから始める。誰もが通る道なのかもしれない。ただ、それ以外の道が知られてなさすぎて、自分で探さなきゃいけなかった。 ー『シン・ファイヤー』(稲垣えみ子、大原扁理) ・・・・・・・・・・・・ 著・文・その他 稲垣 えみ子 著・文・その他 大原 扁理 出版社(メーカー名) 百万年書房 本体価格(税抜) ¥2,000 発行日 2024/07/01 頁数 352 サイズ(mm) 縦128 × 横188 × 厚さ28 判型 46 家事か地獄か』(稲垣えみ子)??『年収90万円で東京ハッピーライフ』(大原扁理)の最強タッグに学ぶ、シン(真/新)のFIREへの道--。 インフレだ、円安だ、老後不安だ、という「お金の心配」から自由になるための、誰にでもできる、たったひとつの冴えたやり方。
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ワンルームワンダーランド ひとり暮らし100人の生活
¥2,200
SOLD OUT
編著=落合加依子、佐藤友理 エッセイ=100人の皆様 装丁・組版 佐藤友理 編集 落合加依子(小鳥書房)、佐藤友理 印刷・製本 シナノ書籍印刷株式会社 並製、B6、帯あり、240ページ ISBN978-4-908582-12-7 定価:2,000円+税 発行:小鳥書房
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願ったり叶わなかったり
¥2,200
版元:短歌研究社 著:宇野なずき 四六判 120ページ 2024年6月刊 誰ひとりきみの代わりはいないけど上位互換が出回っている 「死ぬほどでもなかった絶望、まっすぐ受け取れなかった希望。 美しくなかった日々の遺書は、不思議と明るくユーモラスで、そして美しい。」 ──麻布競馬場(作家) これまでに刊行した私家版歌集収録より選んだ100首に、 書き下ろし100首を加えて編集した宇野なずきの最新作、ついにリリース!
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文化の脱走兵
¥1,760
どうかあきらめずに、なによりも大切な自分の内面世界を守りながら、一緒に逃げ続けてください。絶望してしまわないためには物語が必要です。 ー『文化の脱走兵』(奈倉有里) ・・・・・・・・・・・・・ 著・文・その他 奈倉 有里 出版社(メーカー名) 講談社 本体価格(税抜) ¥1,600 発行日 2024/07/11 頁数 224 判型 46 本を片手に、戦う勇気ではなく逃げる勇気を。 言葉を愛する仲間たちに贈る、待望のエッセイ集。 「国でいちばんの脱走兵」になった100年前のロシアの詩人、ゲーム内チャットで心通わせる戦火のなかの人々、悪い人間たちを化かす狸のような祖父母たち──あたたかい記憶と非暴力への希求を、文学がつないでゆく。 「もし本が好きになったら──私たちがその人たちを見つけて、めいっぱい大切にしよう。世界中のたくさんの本を翻訳して、朗読して、笑ったり泣いたりしよう。」(「クルミ世界の住人」より) 紫式部文学賞を受賞したロングセラー『夕暮れに夜明けの歌を』の著者による、最新エッセイ集。 【もくじ】 クルミ世界の住人 秋をかぞえる 渡り鳥のうた 動員 ほんとうはあのとき…… 猫にゆだねる 悲しみのゆくえ 土のなか 道を訊かれる つながっていく 雨をながめて 君の顔だけ思い出せない こうして夏が過ぎた 巣穴の会話 かわいいおばあちゃん 年の暮れ、冬のあけぼの 猫背の翼 あの町への切符 柏崎の狸になる あとがき 文化は脱走する 【装幀】 名久井直子 【装画】 さかたきよこ
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Coyote No.83 特集石 この世界の記憶 アイラ島とアラン島
¥1,320
Coyoteは「石 この世界の記憶 アイラ島とアラン島」。世界を理解する手がかりを求め、スコットランドの2島へ。ロマン。 出版社(メーカー名) スイッチパブリッシング 本体価格(税抜) ¥1,200 発行日 2024/07/15
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日本木造遺産 千年の時を超える知恵
¥2,970
SOLD OUT
2冊を通じて紹介した伝統の木造建築は、わが国でしか生まれようもなければ、生き続けることもできない、世界的な遺産である。 藤森照信さんと藤塚光政さんの『日本木造遺産』、「千年の建築を旅する」と「千年の時を超える知恵」あわせてぜひ。 ・・・・・・・・・・・・・ 著・文・その他 藤森 照信 著・文・その他 藤塚 光政 出版社(メーカー名) 世界文化社 本体価格(税抜) ¥2,700 発行日 2024/06/10 頁数 208 サイズ(mm) 縦257 × 横182 × 厚さ16 判型 B5 建築探偵・藤森照信×写真家・藤塚光政 深い洞察力と渾身の撮影で、日本の木造遺産を総力取材! ・2019年から足かけ5年にわたる雑誌「家庭画報」の好評連載を書籍化 ・腰原幹雄によるコラム「構造学者の眼から見た木造遺産32」も必読! 建築探偵の藤森照信が深~い文章を、建築写真界の大御所・藤塚光政がキレのある写真を撮る……。二人の巨匠がタッグを組んだらこれはもう最強、将棋にたとえれば「飛車」と「角」。でもそれにとどまらず、それぞれの木造遺産について構造学の観点から、東京大学生産技術研究所の腰原教授がコラムを寄稿。そんな贅沢極まりない連載を雑誌を「家庭画報」は足かけ5年にわたって続けました。本書は32の木造遺産を雑誌とはまた異なる仕立てで再構成した“後世に残したい”一冊です。
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平熱のまま、この世界に熱狂したい 増補新版
¥968
版元:筑摩書房 著:宮崎智之 文庫判 288頁 注目の文芸評論家、エッセイストによる等身大の言葉で日常を鮮やかに描いた文章集。増補を加えて待望の文庫化。解説 山本貴光・吉川浩満
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犬ではないと言われた犬
¥1,760
版元:百万年書房 著: 向坂くじら 四六判並製 2024年07月11日刊 初小説『いなくなくならなくならないで』が、第171回芥川賞候補作品に。 今もっとも注目を集める詩人の、「言葉」をめぐるエッセイ集。 【目次】 くちぶえ、ソロで 犬ではないと言われた犬 とありますが、どんなこころですか 矮小な手のひら しゃべれない ひとりで学ぶことについて ほら、フレディ ドアノブのないドア ひとの子に お前とポエムやるの息苦しいよ 微調整、微調整 雲のかよひ路 事象がわたしを 湯船に浸かる かわいくはないよそもの 後ろ歩き ミケ あとがき 【著者略歴】 向坂くじら(さきさか・くじら) 詩人。1994年名古屋生まれ。「国語教室ことぱ舎」(埼玉県桶川市)代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」朗読担当。著書に詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ集『夫婦間における愛の適温』、小説『いなくなくならなくならないで』ほか共著など。慶應義塾大学文学部卒。
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MIZUMURA's
¥2,970
SOLD OUT
版元:淡交社 安西水丸事務所/監修 2024/6/18 A5判 並製 176頁(カラー176頁) 安西水丸が集め、愛で、描いた140点の蒐集品 蒐集品と、それが描かれたイラストレーションを一対で紹介することにより、新鮮な鑑賞体験を イラストレーター・安西水丸(1942-2014)が国内外で集めた大量の蒐集品。それらは時に、イラストレーションのモチーフとして描かれました。本書は氏が愛でた蒐集品のなかから、イラストレーションに登場するものを中心に選び取り、紹介する一冊です。幼い頃から目にしていたという青い皿、仲間たちと競うように集めたスノードームなど、集まった約140点の「もの」とその記憶を通して、新しい安西水丸像に迫ります。
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誕生日の日記
¥2,530
阿久津隆/いがらしみきお/イリナ・グリゴレ/植本一子/大崎清夏/金川晋吾/古賀及子/柴沼千晴/鈴木一平/pha/三宅唱/三輪亮介/me and you 「どんな今日も、誰かの生まれた日」 誰かの誕生日の日付から始まる、15人の日記集。 H150×W105、並製、208頁 定価2,300円+税 ISBN 978-4-9913584-0-1 C0095 発行 日記屋月日 装幀 仲村健太郎・古本実加 配送日:2024年7月上旬、初回発送予定
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誕生日のアップルパイ
¥2,420
作家夫婦が子どもたちに、うれしいことがあったらその日のうちに、つまり、よろこびが減らぬうちにお礼の手紙を書きなさい、と教えたように、千寿子さんもまた、うれしいことがあったら、その日のうちに娘に向けて葉書を書き、手紙を書きました。 ー『誕生日のアップルバイ』(庄野千寿子) 庄野千寿子 著 庄野潤三(1921-2009)が残した小説のほとんどには、作家の家族が登場します。 彼らは明るく、快活で、ユーモア精神にあふれ、ときに作家に小説の話題を提供 し、ときに小説の主人公となります。子どもたちの生命力があふれる初期の作品 もいいですが、老夫婦の日々を描いた晩年の連作もまた、庄野文学の大きな魅力 といっていいと思います。なかでも、作家の生活を陰でささえる千寿子夫人 (1925-2017)は、連作のなかで特別な存在です。 本書はこれまで発表されてこなかった千寿子夫人から長女夏子さんへの書簡で す。手紙をいろどるたくさんの料理と、娘への感謝の気持ちを綴った数々の手紙 は庄野潤三の文学そのもので、読んでいるこちらも幸せな気持ちになります。手 紙は昭和48年に始まり、作家が亡くなった2009年に終わります。日々のよろ こびを反芻するために綴った、家族の些細な記録は、庄野文学を読み解くヒント であり、同時に、毎日の生活を楽しむためのヒントになっています。 価格:2200+税/224頁 発行 夏葉社
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女の子たち風船爆弾をつくる
¥2,750
版元:文藝春秋 著:小林エリカ 2024年5月刊 395P 四六判上製 和紙とコンニャク糊でつくられた「風船爆弾」で、「原子爆弾」に対抗しようとした国が生み出した、風船のようにフワフワとして、桜の花びらのようにハラハラと儚い、戦争文学の傑作だと思う。 とてもとても丹念に、緻密に、膨大な資料から戦争の姿を描いたとんでもない「労作」なのに、重厚さを一切感じさせない、なんと「ふわふわ」した語りなのだろう…。 お話は、日本からアメリカに放たれる「風船爆弾」づくりにmいつの間にか動員されていくふつうの少女たちの物語。そこに、少女らの憧れ・宝塚歌劇団のお姉さんたちの物語も絡まり合っていく、というもの。 「わたし」と「わたしたち」が溶け合うような独特すぎる文体とも相まって、あたかもわたし自身が少女になって、戦争を体験しているような感覚に。とにかく音楽的で、小さきものに寄り添い続ける語り口がすばらしい。 だけど「か弱き無力な被害者」としてではなく、戦争の空気を吸い、たしかに戦争の一部でもあったような存在として少女たちは描かれる。同時に、社会がどんな緊迫した状況になっても、華やかなものへの憧れ、オシャレへの気遣い、女の子同士の楽しい時間もあって、どこかから少女たちのクスクス笑いが聞こえくるよう。 たとえば歴史上重要な人物はあえて名前で呼ばれず、逆に無名の少女たちは名前と共に描かれたりとか、宝塚歌劇団の足取りと重ねて、ヨーロッパ、アメリカ、満州、朝鮮など世界各地の戦況が巧みに描かれたりとか、ひとつひとつのディテールに深みがあり、考えさせられる。ふわふわしてるけど、ずしりと重い一冊。
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わたしは生きた
¥3,080
著・文・内藤礼 著・文・小池一子 写真 畠山直哉 著・木村稔将 東京のまちを中心に、2021年に開催された「東京ビエンナーレ 2020/2021」。 総合ディレクター・小池一子から出た言葉「東京に祈る」に呼応するように、内藤礼の作品「わたしは生きた」は制作されました。 1945年3月10日、東京大空襲により10万人を超える死者を出した東京都心東部エリアで、内藤は今なお残る戦争の記憶や痕跡をたどり、蔵前にある長応院境内のギャラリー・空蓮房に小さな人型の彫刻「ひと」を置き、墓地の慰霊碑に水を捧げました。また戦火の中、子供たちが避難し、現在も現役の小学校内にある地下防空壕にも「ひと」を配することで、周辺地域の持つ戦時の記憶を浮かび上がらせ、過去の鎮魂と未来へと捧げる、祈りの空間をつくりだしました。 暗闇の中、光のある方に身体をむける「ひと」。2011年に初めて制作された「ひと」は、わたしとあなた、生と死、内と外、過去と現在、そこにあるすべてを内包しながら静かに佇む者。「ひと」の前で人は、さまざまなことを思い、またさまざまな感情が喚起されることでしょう。 本書は、どのようなことがあっても、人は亡くなるその瞬間まで生きたのだ、と信じ「わたしは生きた」と題された本作を、畠山直哉の写真と小池一子のテキストにより書籍化したものです。 出版社(メーカー名) HeHe 本体価格(税抜) ¥2,800 発行日 2024/6/20 頁数 48
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生活工芸と古道具坂田
¥3,960
著者|菅野康晴 発行|2024年6月1日/新潮社青花の会 A5判/上製本/136頁 2000年代は「生活工芸」と「古道具」の時代でした。前者の代表が木工家の三谷龍二さんで、後者は古道具坂田の坂田和實さんです(当人はそう思っていないかもしれませんが)。「生活工芸」も「古道具」も、既存の権威にたいする抵抗、挑戦という側面がありました。その構図は明快で、しかも奏功します。そういう時代がきていた、ということだったのだろうと思います。いまはあのころのような構図のわかりやすさはうしなわれている気がします。2000年代と2010年代以降をくらべて、決定的な差は、SNSの普及と出版業の衰退でしょう。構図の消失、もしくは氾濫。本書におさめた文章の多くは、2010年代以後に、2000年代を回顧したものです。挑戦者が挑戦される側に、あえていえば弱者が勝者になったあとで、その成果の中身を考えようとしたものです。(「あとがき」より)
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古道具もの語り
¥8,800
著者|坂田和實 発行|2023年5月25日/新潮社青花の会 撮影|奥山晴日 装丁|大野リサ A4判横本/麻布張り上製本/函有/カラー64頁 〈東京目白にあった「古道具坂田」(1973-2020)は、骨董商の坂田和實さん(1945-2022。著書に『ひとりよがりのものさし』等。「museum as it is」創立者)がいとなんでいた店で、その質素な構えに反して、とくに1990年代以降は、分野も世代も国境もこえて多くの人々の心を照らし、ときには人生観までかえてしまうような店でした〉(『工芸青花』18号特集「古道具坂田とmuseum as it is」より) ─ 本書『古道具もの語り』は、2014年から19年まで東海道新幹線の車内誌に連載された記事(病気により中断)をまとめたもので、2022年になくなった坂田和實さんの遺著です。名著『ひとりよがりものさし』(2003年刊)の続篇的内容でありつつ(単著はこの2冊のみ)、約20年の歳月が、えらぶ物や、文章の色あいをかえています。 連載時の撮影にさいしては、物の配置や背景、構図なども提案していたという坂田さん。病床で、最後まで仕上りを気にしていたのも本書でした。 骨董、工芸界にとどまらず、現代日本の生活文化に大きな影響をあたえた「眼の人」の、いつものようにかろやかで、芯のある、最後のメッセージです。
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城崎にて 四篇
¥2,530
森見登美彦 (著), 円居挽 (著), あをにまる (著), 草香去来 (著) 「城崎は、カニがうまい」 大和八木駅近くの焼き鳥屋に、奈良県ゆかりの作家が何人か集まり、しょうもない話をしていたときのことである。森見登美彦氏の何気ない一言をきっかけに、われわれは城崎温泉を訪れることとなった。宿は川口屋城崎リバーサイドホテル。カニ料理のフルコースに舌鼓を打ち、遊技場でスマートボールや射的に興じ、ロープウェイに乗って温泉寺に詣で、城崎文芸館を訪問した。実にユカイな旅行であり、その旅の思い出としてここに本書を刊行する。 装幀・川名潤 出版社 : 志学社 (2024/6/6) 発売日 : 2024/6/6 言語 : 日本語 単行本 : 160ページ