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その国の奥で
¥3,190
著・文・その他 J・M・クッツェー 翻訳 くぼた のぞみ 0世紀初めの南アフリカ。人里離れた農場に暮らす孤独な娘と、若い黒人女を得た父の葛藤を激しく暴力的に描く傑作。植民地社会の矛盾とディスコミュニケーション。映画化。新訳決定版。 欲望、堕落、幻想を見極めようとする力作──オブザーバー紙 めくるめく緊迫感が最後までゆるまない筆致──デイリーテレグラフ紙 植民地支配の歴史を生きた者たちの、人種と性をめぐる抑圧と懊悩を、 ノーベル賞作家が鮮烈に描いた、濃密な、狂気の物語。 語りと思考のリズムを生かした新訳決定版!!! 「父さん、許して、そんなつもりじゃなかった、 愛してる、だからやったの」 20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく……。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!! 出版社(メーカー名) 河出書房新社 本体価格(税抜) ¥2,900 発行日 2024/07/23 頁数 264 判型 46変形
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犬ではないと言われた犬
¥1,760
版元:百万年書房 著: 向坂くじら 四六判並製 2024年07月11日刊 初小説『いなくなくならなくならないで』が、第171回芥川賞候補作品に。 今もっとも注目を集める詩人の、「言葉」をめぐるエッセイ集。 【目次】 くちぶえ、ソロで 犬ではないと言われた犬 とありますが、どんなこころですか 矮小な手のひら しゃべれない ひとりで学ぶことについて ほら、フレディ ドアノブのないドア ひとの子に お前とポエムやるの息苦しいよ 微調整、微調整 雲のかよひ路 事象がわたしを 湯船に浸かる かわいくはないよそもの 後ろ歩き ミケ あとがき 【著者略歴】 向坂くじら(さきさか・くじら) 詩人。1994年名古屋生まれ。「国語教室ことぱ舎」(埼玉県桶川市)代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」朗読担当。著書に詩集『とても小さな理解のための』、エッセイ集『夫婦間における愛の適温』、小説『いなくなくならなくならないで』ほか共著など。慶應義塾大学文学部卒。
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女の子たち風船爆弾をつくる
¥2,750
版元:文藝春秋 著:小林エリカ 2024年5月刊 395P 四六判上製 和紙とコンニャク糊でつくられた「風船爆弾」で、「原子爆弾」に対抗しようとした国が生み出した、風船のようにフワフワとして、桜の花びらのようにハラハラと儚い、戦争文学の傑作だと思う。 とてもとても丹念に、緻密に、膨大な資料から戦争の姿を描いたとんでもない「労作」なのに、重厚さを一切感じさせない、なんと「ふわふわ」した語りなのだろう…。 お話は、日本からアメリカに放たれる「風船爆弾」づくりにmいつの間にか動員されていくふつうの少女たちの物語。そこに、少女らの憧れ・宝塚歌劇団のお姉さんたちの物語も絡まり合っていく、というもの。 「わたし」と「わたしたち」が溶け合うような独特すぎる文体とも相まって、あたかもわたし自身が少女になって、戦争を体験しているような感覚に。とにかく音楽的で、小さきものに寄り添い続ける語り口がすばらしい。 だけど「か弱き無力な被害者」としてではなく、戦争の空気を吸い、たしかに戦争の一部でもあったような存在として少女たちは描かれる。同時に、社会がどんな緊迫した状況になっても、華やかなものへの憧れ、オシャレへの気遣い、女の子同士の楽しい時間もあって、どこかから少女たちのクスクス笑いが聞こえくるよう。 たとえば歴史上重要な人物はあえて名前で呼ばれず、逆に無名の少女たちは名前と共に描かれたりとか、宝塚歌劇団の足取りと重ねて、ヨーロッパ、アメリカ、満州、朝鮮など世界各地の戦況が巧みに描かれたりとか、ひとつひとつのディテールに深みがあり、考えさせられる。ふわふわしてるけど、ずしりと重い一冊。
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私の猫
¥2,420
十文字青 (著) 表題作を含む四篇を収録。 「書肆imasu」レーベル第一弾。 収録作品: 父と猫 19981999 愛はたまらなく恋しい 私の猫 装画・タダジュン 装幀・名久井直子 出版社 : 志学社 (2024/6/6) 発売日 : 2024/6/6 言語 : 日本語 単行本 : 192ページ
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夜ふけに読みたい 森と海のアンデルセン童話
¥2,530
著・文・その他 H. C. アンデルセン 著・文・その他 アーサー・ラッカム 翻訳 吉澤 康子 翻訳 和爾 桃子 「夜ふけに読みたいおとぎ話」シリーズ最新刊は、森と海のアンデルセン童話。みにくいアヒルの子、人魚姫… デンマークからやってきた、春と夏のお話。 出版社(メーカー名) 平凡社 本体価格(税抜) ¥2,300 発行日 2024/4/26 頁数 264
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別れを告げない
¥2,750
版元:白水社 著:ハン・ガン 訳:斎藤真理子 四六版 320頁 2024年3月刊 安全な場所から、スルスルと読み進めることを決して許さない本だと思う。執拗に描写される寒さや暗さ、痛みを自分ごとのように感じる。不安定で悲しみに満ちた何が現実かもわからぬ場所に、否応なしに放り込まれる。読んでいて苦しいし、痛い。でも、そういった場所まで降りていかないと、覗き見ることができないような「暗闇」をこの本は書いているのだと思う。 この本で描かれるのは、済州島四・三事件という凄惨な「ジェノサイド」の歴史。でも語り口は一筋縄ではいかない。私たちに提示されるのは、ひとりの当事者とその娘のフィルターを通じた、語りの断片。幽霊との会話。ここには、わたしにこの死者たちの声を聞き届けることができるだろうか、それを書くことができるのだろうかという逡巡がある。 そして、痛みを抱えたふたりの女性たちの関係が、すばらしい。深い喪失と欠落の果てにしか人は深くつながることはできないのか。そんなことを思う。
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うどんリープ─香川に帰ったらタイムリープから抜けられなくなった件
¥550
森 晶麿 (著) 1979年生まれ。2011年『黒猫の遊歩あるいは美学講義』で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞。著書にこの「黒猫シリーズ」や「探偵シリーズ」「偽恋愛小説家シリーズ」、その他の著書に『キキ・ホリック』『探偵と家族』『超短編! ラブストーリー大どんでん返し』『チーズ屋マージュのとろける推理』などがある。香川県在住。 ・・・・・・・・ 大学進学を機に郷里の香川を出、東京の企業に就職した達也はある日縁談を進められる。乗り気になったものの、地元には遠距離恋愛中の恋人がいた。大型連休の金曜に香川へ帰省し、別れ話をするはずが、気がつくと帰省最終日の日曜朝になっている。何とか恋人に別れを告げるものの、時間はなぜか金曜夜に戻ってしまい、やり直しの会話の中で、達也は恋人の秘密に気づく。本当に彼女とは終わりなのか。達也の本当に望む未来はどこに——? 出版社 : U-NEXT (2024/3/1) 言語 : 日本語
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オリンピア
¥2,750
版元:北烏山編集室 著:デニス・ボック A5変並製 248ページ 2023年12月刊 英語英文学・翻訳のふたり出版社「北烏山編集室」さんから、はじめての本『オリンピア』が届きました。 翻訳の越前敏也さんが25年前に読んで圧倒され、出版も決まっていないのに全文訳出してあちこちに持ち込みしていた本が、四半世紀を経てようやく日の目をみる…という経緯が、奇跡のよう。一家の歴史を静かに描いた連作短編集。
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彼女たち
¥1,650
『彼女たち』 中川正子さんの写真と、桜木紫乃のささやかな物語が互いに寄り添うような、やさしい光に満ちた一冊です。枕元に、お守りがわりに置いておきたい。 ・・・・・・ 桜木 紫乃 (著), 中川 正子 (写真) 人間関係につまずき、ひとりぼっちを選んだイチコ。「自分のために、納得ゆくまでやってごらんよ」のことばに背中を押されて生き方の舵を切り直した彼女は、一匹の猫との出会いで新たな感情を手に入れる。イチコ、モネ、ケイ。年齢も生い立ちも異なる三人の女性の物語。それぞれやっかいごとを抱える彼女たちの人生は、とある喫茶店でかすかに交わる。店でひととき過ごしたあと訪れる、ささやかだけれどたしかな変化とは。 ひたむきに、今を生きるあなたに届けたい。読んだあと誰かに贈りたくなる一冊。 * 中川さんの作品集をはじめて開いたとき、「きれいな空をもった人だな」と感じました。空に誘われ、大切な友人を想いながら書いていたら、贈りたい人の顔がたくさん浮かぶ一冊になりました。私も光を求めて生きる「彼女」のひとりでした。 (桜木紫乃) 紫乃さんの切り取る「彼女たち」の日々。それぞれの目に映る色や光を思いました。今日も赤く暮れていく空の下、彼女たちは自分の歩幅で進んでいるのでしょう。わたしは、どんなふうに歩いていこうか。今日をどう、始めようか。気づけばわたしも「マサコ」として、この物語の中で息をしていました。 (中川正子) 出版社 : KADOKAWA (2023/10/13) 発売日 : 2023/10/13 言語 : 日本語 単行本 : 56ページ
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シュークリーム
¥2,200
蕎麦と云う物は岡山で食べた事はあるけども、口の中でざござごして、もそもそして、貧乏人が腹のたしに食う物だとされていた。 ー『シュークリーム』(内田百閒) ・・・・・・・・ 内田百閒【著】 山本善行【監修】 書物の愛好家はもとより、作者や作品ないしは読書そのものへの入り口にしてほしいという想いのもと、「小品」をコンセプトに刊行してきた「灯光舎 本のともしび」第1期最終巻。 第1期の最後を飾るのはいまも根強いファンが多い文豪・内田百閒。敬愛してやまなかった師・夏目漱石にお金を借りに行く諧謔のきいた随筆から古郷・岡山と祖母のおもかげを語る小話「シュークリーム」など7作品を収録。 ちょっと悲しくておかしい百閒独特のユーモアや、収録作「昇天」に感じる怪奇的な世界観など百閒文学の旨みを凝縮した1冊。本や文学に親しむきっかけを与えてくれる小品集です。 収録作 ・漱石先生臨終記 ・長春香 ・昇天 ・掻痒記 ・乱れ輪舌FOT ・寺田寅彦博士 ・シュークリーム 発行元:灯光舎 2023/03/01発売
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昔話の扉をひらこう
¥2,000
小澤 俊夫 (著) わたしたちの祖先が何世代も語りついできた昔話には、人生観、自然観、子育てのヒントが染み込んでいます。 あたたかいまなざしで人生の本質を語り、「大丈夫だよ」と励ましてくれるのです。 昔話に秘められる大切なことを紐解く一冊です。 特別収録 ◎小さなお話集 日本の昔話(「かっぱの恩返し」「団子長者」ほか12話) グリム童話(「灰かぶり」ほか2話) ◎二人の息子との初めての鼎談 (長男 小澤淳さん、次男 小沢健二さん) 出版社 : 暮しの手帖社 (2022/1/19) 発売日 : 2022/1/19 言語 : 日本語 単行本 : 224ページ
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徳島文學 第3号 2020 Volume3
¥1,650
SOLD OUT
版元:徳島文学協会 A5並性 P261 2020年5月刊 徳島から発信、自由で新しい文芸誌のカタチ。 疫病が蔓延する世界で肉欲に溺れる素性も知れぬ男女たち、狂気か悪夢か、はたまた現実の写し鏡か、吉村萬壱の新たな傑作「ゼクレータ」。 「症候群」大滝瓶太 、「月の船」久保訓子、「カササギの橋」山本渚。 第二回「阿波しらさぎ文学賞」受賞作「踊る阿呆」佐川恭一、徳島新聞賞「胸をつらぬく」桐本千春、徳島文学協会賞「いらっしゃいマンション」宮月中。 第十回全国高校生文学賞「本当のこと」佐々木晴。 巻頭俳句「草の花」涼野海音、短歌「夕陽をすくいあげて」田丸まひる、俳句「肉の部分」原英。 評論「肉体の復活─北條民雄論」奴田原智明他 (版元紹介より)
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徳島文學 創刊号 2018 Volume1
¥1,650
版元:徳島文学協会 A5並性 P244 2018年5月刊 徳島文学協会による、これまでにない文芸誌「徳島文學」。 芥川賞作家の吉村萬壱、玄月、批評家・詩人の若松英輔、歌人の武田穂佳らが執筆。 同人誌の枠を超えた新しい地方発の文芸雑誌が創刊。 (版元紹介より)
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徳島文學 第2号 2019 Volume2
¥1,650
版元:徳島文学協会 A5並性 P202 2019年5月刊 徳島から発信、自由で新しい文芸誌のカタチ。 芥川賞作家の青来有一、藤野可織、小山田浩子、歌人の田丸まひる、俳人の涼野海音ら多彩な執筆陣。 地方文学の概念を変える新たな文芸誌、待望の第二号刊行。 (版元紹介より)
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文鳥・夢十夜・永日小品 (角川文庫 緑 ) 文庫
¥482
夏目 漱石 (著) 夢に現れた不思議な出来事を綴る「夢十夜」、鈴木三重吉に飼うことを勧められる「文鳥」など表題作他、留学中のロンドンから正岡子規に宛てた「倫敦消息」や、「京につける夕」「自転車日記」の計6編収録。 出版社 : KADOKAWA; 改版 (1970/5/12)
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ことり (朝日文庫)
¥638
小川 洋子 (著) 人間の言葉は話せないけれど、 小鳥のさえずりをよく理解し、 こよなく愛する兄と、 兄の言葉を唯一わかる弟。 小鳥たちの声だけに耳を澄ます二人は、 世の片隅でつつしみ深く一生を生きた。 やさしく切ない、著者の会心作。 出版社 : 朝日新聞出版; 文庫版 (2016/1/7)