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くらしのアナキズム

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版元：ミシマ社　著：松村圭一郎　四六判並製　240ページ　2021年9月刊

私たちは、なんとなく政治は政治家のすることだし、政治参加の手段は選挙だけ、と思いがちだ。

でも、政治ってそもそもは「自分たちの問題を、自分たちで解決する」という事だったはず。本書が志向するのは、まさにそんな「自治」の感覚。政治をお上に任せるのではなくて、足元の共同体をベースにして、時間をかけてコンセンサスを得ながら物事を解決していく…そんな「公共の」かたち。

「アナキズム」というフィルターを通して見えるのは、暴力を独占し人々から収奪してきた、国家というもののヤバさ。そして、国家から逸脱した共同体で実現している民主主義の豊かさだ。

アジアの山岳地帯で国家から逃れて暮らすゾミア、アフリカの共同体、フランスや中世日本の市場、昭和の日本の村社会。

そこには、私たちが失ってしまった、本物の平等や民主的な意思決定の技法があって、数の論理で強者が弱者をねじ伏せるばかりで、分断が広がりコンセンサスからほど遠いわたしたちが学ぶべきことは、めちゃくちゃありそうです。